富山県立中央病院

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歯科口腔外科

概要

 歯科口腔外科では口腔(口の中)、顎(あご)、顔面などに関わる疾患を中心に治療をしています。智歯(親知らず)の抜歯、嚢胞(顎の中にできた袋)を摘出する手術、顎骨骨折の整復手術、蜂窩織炎に対する消炎手術、顎矯正手術(顎の変形を矯正する手術)など、年間で約1,600件(入院手術約300件、通院手術約1,300件)の手術を行っています。特に顎変形症患者に対する外科的矯正治療は矯正歯科専門医と連携して行っており、当科が顎矯正手術(Le Fort Ⅰ型骨切り術、下顎枝矢状分割法、オトガイ形成術など)を担当し、その手術件数は増加傾向にあります。
 がん等に関わる手術、放射線治療、化学療法などを受ける患者さんの口腔内トラブル(口内炎、口腔乾燥、口腔内出血など)に対する治療にも力を入れており、積極的に医科歯科連携を行っております。
 当科は日本口腔外科学会研修施設として認定されており、口腔外科認定医、専門医の育成を行っています。また新潟大学の協力型歯科医師卒後臨床研修施設として研修医を受け入れています。

取り扱っている主な疾患、診療内容

  • 歯とその周囲組織の外科的処置(智歯の抜歯、難易度の高い抜歯、合併症を持つ患者の抜歯、萌出困難歯の開窓、歯の移植など)
  • 炎症(口腔顎顔面領域の重症感染症)
  • 外傷(顎の骨折、歯の脱臼、顔面や口腔軟組織の損傷など)
  • 顎変形症(顎の変形を伴う歯列不正や顔の変形)
  • 嚢胞(口の中にできる袋)
  • 口腔腫瘍(口の中にできるできもの)
  • 口腔粘膜疾患(口内炎、舌炎、扁平苔癬、白板症など)
  • 顎関節疾患(顎関節症、顎関節脱臼など)
  • 唾液腺疾患(唾石、粘液嚢胞など)
  • 歯科インプラント埋入のための骨造成(サイナスリフト、ベニアグラフトなど)※骨造成のみで、歯科インプラント埋入は行っておりません。保険外診療になります。
  • 歯科矯正治療のためのアンカーインプラント埋入(オーソアンカーSMAPシステム)※保険外診療になります。
  • 睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置製作(※医科での診断、紹介が必要です)
  • がん等の手術、放射線治療、化学療法などを受ける患者さんの口腔ケア

地域の歯科医院との連携

 地域の開業歯科医院との連携を推進するために病診連携症例検討会を定期的に開催しています。
 地域の開業歯科医院と連携して治療を行っているため、紹介状をお持ちでないと原則診察ができません。必ず紹介状をお持ちください(緊急の場合はこの限りではありません)。
 なお、初診日には問診と検査、応急処置のみを行い、原則的には手術は行っておりませんのでご了承ください。
 また、「歯科口腔外科」という診療科の特性から、当科では一般的な歯科診療(虫歯・歯周病・義歯治療など)は行っておりません。かかりつけ歯科医院での治療をお願いしております。

診療担当表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診 小島 小島 小島
2診 倉部 倉部 倉部
3診 浅見 浅見 浅見 浅見
5診 清水 清水 清水 清水

初診は午前のみ
午後は外来手術
手術日…火、木

医師紹介

医師名・職位 専門分野 資格
部長
小島 拓
(こじま たく)
口腔外科一般
顎変形症
歯学博士
日本口腔外科学会専門医・指導医
日本顎変形症学会認定医(口腔外科)・指導医(口腔外科)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医(歯科口腔外科)
歯科医師臨床研修指導歯科医
医長
倉部 華奈
(くらべ かな)
口腔外科一般 歯学博士
日本口腔外科学会認定医
医員
浅見 栄里
(あさみ えり)
医師
清水 まや
(しみず まや)

治療について

1.顎変形症に対する外科的矯正治療

 顎が出ていたり曲がっていたりすることで、咬合障害、発音障害、審美障害を示す疾患を「顎変形症」と言います。歯並びだけの問題であれば歯科矯正治療で治すことができますが、顎骨自体に問題がある場合はそれでは治りません。このような場合には「外科的矯正治療」が適応になります。当科は「顎矯正手術」を担当します。下顎骨だけを手術する方法と、上顎骨と下顎骨の両方を手術する方法があります。入院期間は10日~2週間程度です。左写真は下顎前突症、右写真は非対称症例の術前、術後を示しています。当科は矯正歯科専門医と連携し顎変形症治療を専門的に行っております。このようなことでお悩みの方は当科にご相談ください。
当科で行っている顎変形症手術が、北日本新聞で紹介されました。
当科で行っている顎変形症手術が、北日本放送のニュース番組「いっちゃんKNB」で紹介されました。

2.全身麻酔下での上下顎埋伏智歯の一括抜歯

 智歯(親知らず)は、炎症、虫歯、歯列不正などの原因となることが多く、抜歯の必要があります。しかし、多くは横向きや逆向きに骨内に埋伏していることが多く、抜歯は困難なことが多いのです。
 当科では、入院、全身麻酔下での上下顎埋伏智歯の一括抜歯を多く行っています。入院期間は3~4日間です。

3.睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置

口腔内装置 気道の狭窄または閉鎖によっておこる閉塞型睡眠時無呼吸症候群は、最近生活習慣病として注目されています。
 睡眠時無呼吸症候群の治療には、減量や薬物療法などの内科的療法、狭窄した気道を手術によって拡げる外科的療法、鼻マスクで空気を鼻から持続的に圧力をかけて送り込み、気道の閉塞を防ぐ経鼻的持続陽圧呼吸装置、口腔内装置などがあります。
 口腔内装置はマウスピース様のもので、上下の歯の間にはめて下顎が少し前に突き出た位置に固定します。寝る前にはめ、眠っている間だけ使用します。睡眠時無呼吸症候群で口腔内装置の適応と診断された場合は、医科からの紹介状を持参の上で当院を受診して下さい。

4.口腔ケア

 当科では、病気の治療に関連して生じる口腔内の不快事項をできるだけ少なくするために、歯科医師と歯科衛生士が、看護師や言語聴覚士など他職種と協力しあって口腔ケアを実施しています。
 たとえば全身麻酔の手術を受ける際、気管内挿管に伴って口腔内の常在菌が気道内に侵入することにより、術後に誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。術後に絶食となる場合は、経口摂取時よりも口腔内の常在菌が増加するため、感染症を引き起こしやすくなります。また、悪性腫瘍の治療で抗がん剤治療や放射線治療を受ける患者さんは、副作用として口内炎や口腔乾燥などが生じることが多く、重篤になれば治療を中断せざるをえないこともあります。これらの予防・症状の軽減のためには、治療開始前から口腔ケアを行い、口腔内の衛生状態を良好にして細菌数を減らしておくことが大切です。
 当院では、術後に誤嚥が起こりやすい食道がんの手術を受ける方や、口内炎が生じやすい移植治療などを受ける方は、必ず術前に歯科を受診していただき、かかりつけ歯科医と連携して口腔ケアを行っています。その他にも、主治医が必要と判断した場合には、治療前から歯科受診をしてもらっています。主治医の先生とご相談のうえ、診断・治療方針が決まりましたらできるだけ早く歯科を受診していただくことをお勧めいたします。
 また、脳血管障害や意識障害があるとき、集中治療室などで人工呼吸器管理が行われているなど、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高い方に対しては、病棟看護師と歯科衛生士が協力して口腔ケアを実施しています。

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