富山県立中央病院

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放射線治療科

概要

 放射線治療専従常勤医(放射線治療専門医)2名、医学物理士2名、放射線治療担当技師5名、放射線治療品質管理士4名、放射線治療担当看護師2名(内1名はがん放射線療法看護認定看護師)、受付1名のスタッフ体制で放射線治療業務に当たっております。
 治療機種はVarian社製 TrueBeamが1台、TrueBeam STXが1台、Nucletron社製microSelectronが1台です。True Beam STxには島津社製のSyncTraxという動体追跡システムも配備しております。

当院の放射線治療の特徴

 当院は県民のがん治療を担う代表施設として、一つの都道府県に対し原則一施設だけ指定される、都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受けております。該当施設の放射線治療部門として相応しい放射線治療が出来るように、常に全国最前線レベルの放射線治療を視野に入れ診療しております。

高精度放射線治療の一つであるIMRT(強度変調放射線治療)は2008年より頭頸部腫瘍、前立腺腫瘍および中枢神経腫瘍に対して保険適用となりました。当院ではまず前立腺癌に対して2008年8月から富山県で最初に治療を始めました。2017年10月時点で534名の患者さんに治療を受けていただき良好な結果が出ております。更に高度な専門的知識が必要となる頭頸部腫瘍に対しても2011年4月よりIMRTによる治療を開始し、2017年10月時点で147名の患者さんに治療を受けていただいております。現在はIMRTの保険適応疾患が限局性固形悪性腫瘍に広がっておりますので、その他の部位に対しても利点が大きいと判断した場合には積極的にこの手法を採用しております。
 体幹部定位放射線治療は肺疾患に対しては2010年より、肝疾患に対しては2011年より富山県で最初に治療を開始いたしました。体幹部病変に対する定位照射治療においては呼吸性移動対策が重要となりますが、幾つかある対策法の内、当院ではまずRPM(Real time Positioning Management system)という技術を用いて治療を開始いたしました。現在はその技術以外にもSyncTraXという装置を用いて動体追尾照射をすることが可能となり、診療の幅が広がっております。
 頭部疾患に対する定位放射線治療は当初は頭蓋骨を固定する方法を用いておりましたが、現在は侵襲の少ない歯形やプラスチック製のマスクによる固定で治療することが可能となっております。
 その他の一般的な放射線治療に関してもIGRT(画像誘導放射線治療)等の有用性の高い手法を積極的に用いて治療しております。

 密封小線源治療は主に子宮癌、腟癌などに対して施行しており、婦人科との協力のもと良好な成績を上げております。
 悪性血液疾患の治療の際に必要となる全身照射も血液内科との協力のもと多数施行しております。
 また全国的にも数少ない看護師による面談やプライバシーに配慮した更衣室なども多くの患者さんの好評を得ております。
 尚、非密封小線源治療に関しては放射線診断科のRI部門にて施行しております。

診療担当表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
放射線
治療初診
午前 豊嶋/今村 豊嶋/今村 今村 豊嶋/今村 豊嶋
午後 豊嶋/今村 豊嶋/今村 今村 豊嶋/今村 豊嶋
再診 午前     豊嶋   今村
午後     豊嶋   今村

医師紹介

医師名・職位 専門分野 資格
部長 豊嶋心一郎 部長
豊嶋 心一郎
(とよしま しんいちろう)
放射線治療 日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医
日本医学放射線学会放射線治療専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
医学博士
医長 今村朋理 医長
今村 朋理
(いまむら ともよし)
放射線治療 日本医学放射線学会放射線治療専門医
日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医

動体追尾体幹部定位照射

動体追尾体幹部定位照射は幾つかある体幹部定位照射法の中でも最も高精度に呼吸性移動対策が出来る治療法です。定位照射は小さな病変に対してピンポイントで大きな線量を照射する放射線治療なので、脳腫瘍の様な動きの無い病変に対する場合は絶対位置精度を高めることで治療可能となりますが、呼吸性移動など大きな動きを伴う体幹部病変に対して治療する場合には絶対位置精度以外に動きに対する対応も必要となります。動きに対する対応を行った場合に算定される、定位放射線治療呼吸性移動対策加算には動体追尾法(10,000点)とその他(5,000点)があります。当院で採用しているSyncTraXはより厳しい条件が必要となる前者を算定することが出来る、数少ない機種の中の一つです。動体追尾するには何れの機種でも腫瘍近傍に金属マーカーを埋め込む必要があります(埋め込まない場合もありますが適応が限られます)。SyncTraXは埋め込んだ小さな金マーカーを透視画面上で最大毎秒30回の高頻度で自動追跡し、金マーカーが治療計画位置に来た時のみ照射する動体追跡システムです。体内マーカーを直接認識する方式なので極めてリアルタイムに腫瘍の位置を認識することが出来ます。当院に配置されたSyncTraXは全国で3番目の導入となる最新バージョンFX4であり最大5個の金マーカーを追跡できる等、非常に進化したものとなっております。あらかじめ金マーカーを留置しなければならないという欠点は有りますが、非常に正確に照射する事が出来るため、正常領域への不要な被曝が大幅に低減し、消化管近傍の肝病変など今までは治療困難であった症例でも治療可能となりました。
現在の保険点数解釈で保険請求できる体幹部定位照射対象疾患は下記の通りです。
・原発性肺癌(直径が5cm以内で、かつ転移のないもの)
・転移性肺癌(直径が5cm以内で、かつ3個以内で、かつ他病変のないもの)
・原発性肝癌(直径が5cm以内で、かつ転移のないもの)
・転移性肝癌(直径が5cm以内で、かつ3個以内で、かつ他病変のないもの)
・脊髄動静脈奇形(直径が5cm以内)
・転移病巣のない前立腺癌
肺病変に対しては4回(もしくは8回)、肝病変に関しては5回の照射で治療しております。1回辺りの治療時間はおおよそ1時間以内で早い場合には15分程度で済みます。苦痛は無く外来通院にて治療できます。体幹部定位照射は手術に匹敵する治療成績の報告もあり、今後ますます発展していく治療法と思われます。また、金属マーカーの留置が出来ない場合でも、以前より当院で施行している金属マーカー留置の必要の無いRPM(Real time Positioning Management system)を用いた治療手技が進化していますので、適宜対応して治療させて頂きます。尚、当科では前立腺癌に対する定位放射線治療に関しては、長期成績の調査報告がまだ出ておらず、尿路障害のリスクが高い可能性が示唆されているので(がん・放射線療法 2017 秀潤社)採用せず、次に御説明するVMATにて治療しております。

TrueBeam STx とSyncTrax FX4

赤矢印は金属マーカー透視のために床下に埋め込まれたX線管
青矢印はX線検出器(12インチFPD)


肺疾患定位放射線治療計画図



肺疾患に対する定位照射の際に使用する金属マーカー

直径1.5mmの金マーカーです。
肺腫瘍の近傍に気管支鏡を用いて4個留置いたします。
肝疾患の場合は直径2.0mmの金マーカー等を局所麻酔下で経皮的に肝腫瘍の近傍に1~2個留置いたします。


金マーカー追跡の透視画面

留置した金マーカーを最大毎秒30回の高頻度で自動追跡します。


強度変調回転照射(VMAT)

強度変調回転照射VMAT(Volumetric Modulated Arc Therapy)は広義の強度変調放射線治療IMRT(Intensity modulated radiation therapy )の一つであり、狭義のIMRTが進化した治療法です。広義のIMRTとは通常の放射線治療がほぼ均一な放射線の強度の線束を用いて治療するのに対し、不均一に強度を変調した線束を用いる事により、照射したい標的への線量を担保しながら、標的に近接して存在する被曝させたくない領域への被曝線量を低減させる治療法です。狭義のIMRTはその中でも固定多門で照射するものを指します。VMATは放射線を出す装置(ガントリと言います)を回転させながら照射するIMRT(rotational IMRT)であります。超多門照射とも言えますが、単純に回転させているわけではなく、ガントリ回転中はその速度、線量率、照射野の形状を連続的に変化させるという非常に複雑な操作を行っております。そのような複雑な操作を行うことによりVMATは固定IMRTに比べて治療時間の大幅な短縮が可能となり、それに伴い被曝線量の軽減が得られ二次発癌発生の危険性も低下します。

前立腺癌に対する固定多門IMRT(7門)の計画(左)とVMAT(1アーク)の計画(右)

固定多門IMRT(7門)計画はMU値862MU、照射時間は約10分、
VMAT(1アーク)計画はMU値549MU、照射時間は約2分です。

その他

2017年度より、がん放射線療法看護認定看護師が配置され、放射線治療に関して更に充実したケアが出来る体制となっております。
放射線治療は比較的に侵襲が少ないため、当科での診療は原則外来診療となっておりますが、抗癌剤の併用など入院加療が必要な場合はもちろん、遠方で通院が困難な場合でも関係各科に入院の上、治療することも可能です。

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