富山県立中央病院

文字の
サイズ

  • 文字を大きくする
  • 文字を小さくする

麻酔科

概要

麻酔科photo 麻酔科は、現在12名の常勤麻酔科医師に富山大学および新潟大学歯学部歯科麻酔科からの応援を仰ぎ、日々の診療を行っています。麻酔科では手術を受ける患者さんの周術期管理を行っております。安心して手術を受けられるように、麻酔科管理症例の方全員に術前診察を行い、手術中は個々の患者さんの状態に応じたきめ細かい麻酔管理を行っています。術後は疼痛管理を行い、早期回復に努めています。ペインクリニック外来では、急性の痛みから慢性の痛み(慢性難治性疼痛)の診療も行っています。
 

1.2016年9月の先端医療棟オープンに伴い、2017年4月からは4階中央手術部はハイブリッド手術室を含む15室の低侵襲手術室として生まれ変わりました。当院では年間7,000例以上の手術が行われており、そのうち麻酔科管理症例は2021年4616例、2022年4756例と全手術症例の半数以上に麻酔科が係わっています。近年の高齢化に伴い、糖尿病・高血圧・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・慢性腎臓病などの合併症を有する患者さんが増加し、より細やかな周術期管理が要求されています。当院では、経食道心エコー、低侵襲血行動態モニタ、脳酸素飽和度測定装置、脳波診断装置、筋弛緩モニタなどの機器を活用しています。また、術後鎮痛の方法として硬膜外もしくは静脈内PCA(患者自己調節鎮痛)装置に加えて、腕神経叢ブロック、大腿神経ブロック、腹横筋膜面ブロックなどのエコーガイド下末梢神経ブロックも積極的に併用して、より安全で良質な周術期管理に努めています。

2.ペインクリニック外来は現在2名の非常勤医師により、月・水曜日の週2日、午前中に診療を行っています。現在は院内紹介患者さんを中心に診療しています。また疾患によっては、皮膚科、精神科、脳神経内科、整形外科とも連携を取って治療に当たっています。

診療担当表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診 青山 吉田  
2診          

1診はペインクリニック外来 
2診は麻酔前診察(診察医は不定)

医師紹介

医師名・職位 専門分野 資格
医長 荒井理歩 部長
荒井 理歩
(あらい りほ)
麻酔全般 日本麻酔科学会指導医
日本小児麻酔学会認定医
副医長 大石博史 医長
大石 博史
(おおいし ひろふみ)
麻酔一般 日本麻酔科学会指導医
日本心臓血管麻酔学会専門医
日本小児麻酔学会認定医
医長
長岡 治美
(ながおか はるみ)
麻酔一般 日本麻酔科学会指導医
日本小児麻酔学会認定医
医長
青山 実
(あおやま みのる)
医師 那須倫範 医長
那須 倫範
(なす みちのり)
麻酔一般 日本麻酔科学会専門医
医長
寺崎 敏治
(てらさき としはる)
麻酔一般 日本麻酔科学会専門医
日本内科学会認定内科医
自治医科大学臨床講師(地域担当)
日本麻酔科学会推薦ICD
医長
立花 怜
(たちばな りょう)
医長
牛尾 和弘
(うしお かずひろ)
麻酔一般 ACLSプロバイダー
麻酔科認定医
麻酔科専門医
医長
高野 慧子
(たかの さとこ)
副医長
古田 美奈子
(ふるた みなこ)
麻酔一般 日本麻酔科学会専門医
日本小児麻酔学会認定医
副医長
青木 大輔
(あおき だいすけ)
麻酔科標榜医
医員
小川 浩平
(おがわ こうへい)
医師
吉田 悠奈
(よしだ ゆうな)

治療について

1.麻酔科術前診察

 手術を受ける患者さんで麻酔科管理症例の方全員に術前診察を行っています。
 術前診察時に必要な検査として、血液検査(血液像、凝固系、肝・腎機能、場合によっては血液ガス分析)、胸部X線写真、心電図、呼吸機能検査を事前に受けていただきます。
 問診では、事前に麻酔科問診票を記入していただき、それに沿って診療を進めていきます。既往歴に喘息、高血圧、心疾患、糖尿病、肝腎疾患、脳梗塞などがないかをお聞きします。治療中の病気に対する内服薬(降圧薬、抗凝固薬、糖尿病薬など)の内容を確認しますので、内服薬がある方には事前に持参薬鑑定を行っていただきます。また、アレルギーや嗜好品(喫煙、飲酒)、手術歴、家族歴についてもお伺いします。
 診察では、まず気道の評価を行います。開口が十分にできるか、義歯や動揺歯がないか、頚部後屈障害がないかなどを診察します。これにより、気管挿管が困難と予想される場合には、手術時に適したデバイスを準備する必要があります。また、硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔が困難となるような脊椎の変形や皮膚異常がないかを確認します。呼吸音や心音に異常がないか聴診も行います。
 検査や診察で気になる点があった場合には、安全に麻酔を受けていただくために、追加の検査や他科受診をお願いする場合があります。
 麻酔管理上の問題点を総合的に評価して、それぞれの術式に応じた麻酔方法を決定し、安心して手術・麻酔を受けていただけるように丁寧に説明します。
 手術前の絶飲食時間や内服薬の継続・中止に関しても説明します。

2.術中管理

 麻酔方法は大きく分けて、全身麻酔と区域麻酔の2つがあります。全身麻酔は手術中意識がない麻酔で、区域麻酔は意識がある麻酔です。区域麻酔には硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、末梢神経ブロックなどがあります。全身麻酔にこれらの区域麻酔を組み合わせて麻酔を行うこともあります。
 全身麻酔では、点滴から静脈麻酔薬を投与し、入眠したことを確認してから筋弛緩薬を投与し、口または鼻から人工呼吸の管を挿入します(気管挿管)。手術中は人工呼吸で、吸入麻酔薬または静脈麻酔薬を持続的に投与することで麻酔を維持します。手術が終了してから麻酔薬の投与を中止すると15分位で麻酔から覚めてきます。意識・呼吸状態を確認した後に、人工呼吸の管を抜き、麻酔終了となります。
 手術中は安全のために、心電図・血圧計・酸素飽和度モニタ・筋弛緩モニタを標準的に装着し、必要に応じて、脳波診断装置・低侵襲血行動態モニタ・経食道心エコー・脳酸素飽和度測定装置等の機器を使用します。

3.術後管理

 術後鎮痛法として、持続硬膜外麻酔(PCEA)や鎮痛薬の持続静脈内投与(IVPCA)を行っています。持続大腿神経ブロックや持続腕神経叢ブロックなどの末梢神経ブロックも術式に応じて行っています。
 術後嘔気嘔吐対策として、2021年からオンダンセトロン・グラニセトロンが術後悪心・嘔吐に対して保険適応となりました。当院ではオンダンセトロンを採用し、その使用により術後嘔気嘔吐の軽減に努めています。

ページトップに戻る