富山県立中央病院

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放射線診断科

診療概要

 放射線診断科は、CTやMRI等の画像診断、IVR(interventional radiology、画像下治療)、核医学診断・治療の領域を担当しています。診断の領域は頭の先から足先までの広範で、IVRは心臓と脳血管を除いた領域を担当しています。画像診断、IVR、核医学診断・治療毎にある程度領域を分けて業務を分担することで、高い診療レベルを維持できるようにしています。
 医療画像の進歩は、リアルタイムに画像を見ながら治療をおこなうIVRの開発をもたらしました。IVRは低侵襲の治療と言えるもので、様々な分野で広く普及しています。放射線診断科では血管像造影室でIVRをおこないます。血管造影室には血管造影装置とCTを組み合わせたIVR-CT、超音波装置が配備してあり、これらの画像を元にして血管塞栓や拡張、穿刺をおこなっています。
 近年の医療画像のデジタル化は、瞬時に必要な画像を観察できる環境の構築を可能にしました。我々の施設では読影室のみならず、院内のどの端末でも必要な画像データを表示できる高速ネットワークが敷設してあります。離れた所にいる主治医と別々に画像を見ながらディスカッションする事も可能となっています。

診療担当表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
画像診断外来午前 担当医 八木 担当医
画像診断外来午後 望月 齊藤 出町 八木 阿保
RI診断外来 赤谷 隅屋 隅屋

医師紹介

医師名・職位 専門分野 資格
部長 出町洋 部長
出町 洋
(でまち ひろし)
放射線診断・IVR 医学博士
日本医学放射線学会診断専門医
日本IVR学会専門医
日本医学放射線学会代議員
部長 阿保斉 部長
阿保 斉
(あぼ ひとし)
胸部画像診断
婦人科領域画像診断
日本医学放射線学会診断専門医
医長 望月健太郎 医長
望月 健太郎
(もちづき けんたろう)
放射線診断・IVR 医学博士
日本医学放射線学会診断専門医
日本IVR学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
医長
齊藤 順子
(さいとう じゅんこ)
放射線診断 日本医学放射線学会診断専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
医員
八木 俊洋
(やぎ としひろ)
画像診断 放射線科専門医

1.放射線診断科の業務内容の紹介

1.1 CT・MRI

 CT(Computed Tomography)検査とは、X線を用いて、人体の断層画像(輪切り画像)を得る検査の事を指します。当院では、高感度(少ないX線量で撮像可能)なディテクターを備えた64列検出器のCT装置が2台導入されており、日々の診療でフル稼働しております。他科の医師より依頼された、想定される疾患や検査目的ごとに、決められたプロトコール(撮影方法・手順)が作成されており、必要な場合には、造影剤を静脈内に注入しながら検査を行うことがあります。さらに、画像再構成機器(ワークステーション)を併用して画像を解析し、3次元画像などを作成し、視覚的に評価しやすい画像や手術の際に使用するマッピング画像などの作成も行う場合があります(図1)。これらの手順により、より正確な診断が可能となっています。このように、CT検査は全身における良悪性の鑑別や各種疾患のスクリーニング、悪性腫瘍の広がり診断など、ある種の疾患の治療方針決定には欠かせない検査となっています。無論、可能な限り、患者さんの被曝線量の低減にも配慮しております。
 一方、MRI検査とは、核磁気共鳴という現象を利用して、人体内部の臓器を輪切りにした画像を得る検査です。CT検査とは異なり、X線による被爆の危険性が全くありません。ただし、妊娠早期の場合には、磁気や電磁波による安全性が確認されておらず、原則として検査はできません。検査時間は通常20分から40分程度と長く、その間安静が必要です。また、検査室内には強い磁場が発生しているため、ある種の金属や器具を装着した患者さんでは、火傷や事故の可能性があるので、MRI検査を行うことができない場合があります。しかし、組織コントラストが良好なため、脳脊髄領域や四肢靱帯、骨盤内臓器などの診断に威力を発揮します。CTとMRIとでは、得意とする領域や疾患が異なる場合があるので、医師の判断によりいずれか一方あるいは併用して、より正確な画像診断の礎としております。
 これらの検査により発生する全ての画像に対して、放射線診断専門医がレポートの作成や検閲を行っております。無論、当科からのレポートの一方通行ではなく、必要なものについては担当医への照会や議論により、患者さんにとって最善の診断・治療が行えるように、常に視野を広げるよう努力しております。
症例1 図1 冠動脈造影CT

 造影剤を静脈から急速静注して、心電図同期を使って撮像した画像を3次元に再構成して作成した像である。左右の冠動脈が明瞭に描出されています。

1.2 マンモグラフィー

 マンモグラフィーとは、乳房専門のX線撮影です。透明なプラスチック板で乳房を押しはさんで撮影します。触診ではわからないような乳癌を映し出すことができ、乳癌の早期発見に有用です。
当院では、当科の医師によるマンモグラフィーの読影と、乳腺外科医とのダブルチェックにより、診断の精度向上を目指しています。

症例2
 左乳房にしこりを自覚され受診された方です。マンモグラフィーでは左に悪性を強く疑うスピキュラを伴う腫瘤(カテゴリー5)を認めます。一方、腫瘤を触れない右にも構築の乱れ(カテゴリー4)を認め、悪性の可能性があります。精査の結果両側とも乳癌と判明し、両側乳房温存手術が行われました。
症例2 図2a 図2b

症例3
同じく左乳房にしこりを自覚され受診された方です。マンモグラフィーでは左E領域(乳頭近傍)に境界明瞭な等濃度腫瘤(カテゴリー3、水色の○)を認めます。この腫瘤がしこりとして触れるものです。一方、しこりとは関係のない部分に、構築の乱れ(カテゴリー4、黄色の○)が疑われます。拡大スポットを撮像すると、境界が微細分葉状~不明瞭の腫瘤(カテゴリー4)を認め、悪性の可能性があります。しこりとして触れるE領域の腫瘤(水色の○)は精査の結果良性でした。もう1ヶ所のしこりとして触れない病変(黄色の○)が乳癌と判明し、乳房温存手術が行われました。
症例3 図3a 図3b

症例3 図3c このように腫瘤が触れない病変でも、マンモグラフィー(と超音波との併用)にて発見できる癌もあり、大変有用な検査です。

1.3 画像下治療(IVR)、血管造影

 IVR(interventional radiology、インターベンショナルラジオロジー)とは、透視(X線)やCT、超音波などの画像診断用装置を駆使して体の中を透かして見ながら、細いカテーテルや針を体内に挿入して病気を治療する治療法です。病気の部分のみを治療し、正常臓器の部分は可能な限り温存するため、手術と比べ体への負担が極めて少ないのが特徴で、傷も針の穴程度ですみます。血管造影とは、細いカテーテルを血管内に挿入して、造影剤を使って血管の撮影を行うことです。
 当科にはIVR専門医が2名おり、各領域・各科専門医との協力体制のもと、全身の様々な臓器・病気を対象にIVRを施行しております(心臓や脳、その他一部領域は担当各科が施行)。また、当院ではIVR-CT装置(CTつき血管造影装置)を用いており、より精度の高いIVRが施行可能です。出血を止めるIVRなど、緊急性の高いものについては24時間対応しております。

 具体的には以下のような治療を行っています。

悪性腫瘍の治療(肝細胞癌など)

動注化学療法(TAI)
カテーテルで悪性腫瘍を栄養する動脈を選び、抗癌剤を流す。
動脈化学塞栓術(TACE)
カテーテルで悪性腫瘍を栄養する動脈を選び、抗癌剤を流したあと栄養動脈の流れを止め、悪性腫瘍への栄養も遮断する。
ラジオ波焼灼術(RFA)
体外から肝悪性腫瘍に針を刺し、電磁波で焼く。

 
せまい血管を拡張する治療(血液透析内シャント狭窄、腎動脈狭窄など)

経皮的血管形成術(PTA)
バルーンカテーテル(風船付きカテーテル)やステント(金属メッシュでできた筒)を使って、せまくなった血管を広げる。

 
異常な血管を閉塞する治療(動脈瘤、動静脈奇形、胃静脈瘤など)

動脈塞栓術(TAE)
カテーテルで動脈瘤や動静脈奇形へ流入する動脈を選び、動脈瘤や動静脈奇形の流れを止める。
バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)
バルーンカテーテル(風船付きカテーテル)で静脈瘤から流出する流れを止めた上で、静脈瘤の流れを止める。

 
出血を止める治療(外傷による内臓出血、産科危機的出血、消化管出血、喀血、術後出血など)

動脈塞栓術(TAE)
カテーテルで出血している動脈を選び、血管内から出血を止める。

 
病変の採取、体外排泄(腫瘍組織の細胞診・生検、膿瘍ドレナージなど)

穿刺吸引細胞診(FNA)
腫瘍に針を刺して腫瘍細胞を吸引し、病理診断する。
針生検(CNB)
腫瘍に針を刺して腫瘍を一部切り取り、病理診断する。
経皮的ドレナージ
体内の膿瘍(うみ)や異常な液体貯留に対し管を挿入し、管を通して膿瘍(うみ)や異常な液体を体外に排泄する。

 
手術をサポートする治療(肝切除術前の経皮的門脈塞栓術、脊椎腫瘍術前の椎体塞栓術、癒着胎盤術前の総腸骨動脈バルーン閉塞など)

経皮的門脈塞栓術(PTPE)
切除予定の肝臓部分の血液の流れを止めることで、残す肝臓を代償性に大きくし、安全に肝切除が行えるようにする。
椎体塞栓術
脊椎腫瘍の手術の際に大量出血の危険性がある場合、出血量が少なくなるように事前に脊椎腫瘍への栄養動脈の流れを止める。
総腸骨動脈バルーン閉塞
帝王切開の際に大量出血の危険性がある場合、出血量が少なくなるように、バルーンカテーテル(風船付きカテーテルで)子宮へ行く血液の流れを一時的に停滞させる。

症例4:肝細胞癌に対する、肝動脈化学塞栓術(TACE)+ラジオ波焼灼術(RFA)
図4a,図4b,図4c,図4d,図4e,図4f

*この位置の肝細胞癌を外科手術で治療する場合、肝臓の半分程を一緒に切除しなければならないこともあります。ラジオ波焼灼術(RFA)を行うのも難しい位置ですが、適切に行えれば外科手術に匹敵する治療効果が得られ、かつ他の部位の温存が可能です。当院では肝細胞癌に対し、肝動脈化学塞栓術(TACE)を併用したラジオ波焼灼術(RFA)を積極的に行うことで、高い治療効果のみならず、より安全かつ高精度の治療を提供するよう心がけています。

症例5:腎不全の血液透析内シャント狭窄に対する、経皮的血管形成術(PTA)
図5a,図5b,図5c

*外科的治療ではせまい血管を拡張することはできないため、外科的治療を行う場合はこの内シャントを放棄して、新たに内シャントを再作成することになります。

症例6:腎動脈瘤に対する、動脈瘤塞栓術(コイル塞栓術)
図6a,6b,6c

*この動脈瘤を手術で治療する場合、基本的に腎臓ごと摘出する必要があります。動脈瘤塞栓術(コイル塞栓術)では、腎機能を温存して治療することが可能です。

症例7:妊娠出産関連の子宮出血に対する、動脈塞栓術(TAE)
図7a,図7b,図7c

*手術ではこのような出血点を発見・止血することは困難なため、手術では通常子宮ごと摘出して止血することになります。動脈塞栓術では、出血部位の発見・止血が可能です。妊孕(よう)性温存も期待できます。

1.4 核医学診断・治療

 RI(Radioisotope、ラジオアイソトープ)とは放射性同位元素のことです。このRIを用いて検査や治療を行う分野が核医学です。病院により核医学、核医学科、核医学診療科など呼称はさまざまですが当院ではRIと呼んでいます。
 院内核診療科や医療関係からの依頼で種々のRI検査を行っています。核医学治療に関しては放射性ヨウ素131Iを用いたRI内用療法以外にセヴァリン治療やメタストロン(ストロンチウム)治療も行っています。

1.核医学検査

 癌の骨転移を評価する骨シンチ、心臓の血流、代謝や機能を評価する心筋SPECT、脳血管障害や認知症などの脳血流を評価する脳血流SPECTなどが代表的検査ですが、その他保険診療可能な数十種類の検査ほぼすべてが施行可能です。近年新たに検査可能になった脳ドーパミン受容体SPECT(ダットスキャン)やソマトスタチン受容体シンチ(オクトレオスキャン)も検査可能です。
 では2011年から当院で稼動しているSPECT/CT装置を紹介します。SPECTとは一言でいえば核医学検査の断層像(および撮像法)のことです。SPECT/CT装置は通常の核医学検査装置とCT装置を合体させたものになります(図8)。
図8

 SPECT/CTの最も有用な点は異常集積の詳しい部位がわかることです。SPECT検査で異常集積を認めた場合にはCTを追加撮像し、SPECT画像と重ね合わせ融合(フュージョン)画像を作成すれば部位診断は容易になります。以前は別のCT装置で撮像した画像データを転送し作成していましたが、それぞれに位置合わせ用のマーカが必要など非常に煩雑であり、位置のずれも避けがたいものでした。このSPECT/CT装置を用いれば患者や術者の負担は軽く、同じ台の上で撮像するので位置のずれは最小限に抑えることができます。図9は舌根部甲状腺の例(症例8)です。
症例8 図9a,図9b,図9c

 図9.図9aのCT画像ではのどの舌根部という部位に腫瘤を認めます。図9bの放射性ヨウ素による甲状腺シンチでは顎部に集積を認めるものの部位の詳細は不明です。図9cのSPECT/CT画像ではCTで認めた腫瘤に一致して集積していることが確認でき、舌根部甲状腺の確信が得られます(ヨウ素の集積がCT上にカラーで示されています)。

2.核医学治療

A.ヨウ素131(131I)を用いたRI内用療法
 甲状腺癌は術後の方が対象になります。以前は入院治療のみでしたが、外来での治療も開始しました。病体や家庭状況に条件がありますが、可能な方には原則として副作用の少ない外来治療を行っています。
B.セヴァリン治療
 悪性リンパ腫の一部が対象になります。当院血液内科と共同で治療を行っています。院外の方はまず血液内科を紹介受診してください。
C.メタストロン(ストロンチウム)治療
 癌の骨転移疼痛治療です。外来で点滴注射を一回するだけの簡単な治療ですが、事前に当科の受診が必要です。

2.本院での研修を考えている方へ

 放射線診断科は情報技術の進歩に寄与すると共に、この恩恵を最も受けている診療科になります。医療情報はレポートを含めた文字情報と画像で構成されます。現代医療では画像が極めて大きな比重を占めており、初期研修医の選択研修科として最も人気のある科となっています。専門職の養成は専門職でしかできません。高いレベルの専門医療を患者さんに提供することと同じように、放射線診断医の研修も大切な事であると思っています。当院は日本医学放射線学会放射線科専門医総合修練施設、日本IVR学会専門医修練認定施設、日本核医学会教育病院の認定を受けています。後期研修(放射線科専門医の研修)を積極的に受け入れており、最近の5年間で3人の医師が当科から後期研修を始めました。平成27年度には新たに2人が後期研修を当科から始めることになっています。
 平成28年度からの発足する専門医認定機構による専門医研修制度においては、金沢大学が基幹施設となって北陸3県の主だった基幹病院が参加して作られる研修コースに参加する予定となっています。後期研修のスタートを当科からと考えている方、地域枠で医学部に入学された方で放射線診断医を目指そうと考えている方は、一度見学・ご相談頂けばと思っています。

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