富山県立中央病院

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整形外科

概要

整形外科photo

 整形外科は運動器を治療する科であり、全身の骨・関節、筋肉、神経、血管を中心として主に手術による治療を行っています。常時治療にあたる医師は7人で、それ以外に非常勤医師、研修医などが協力し治療を行っています。部位別に、脊椎、関節(肩、肘、股、膝)、 四肢(手、足を含む)などの疾患を取り扱っており、それぞれの分野の専門医が良質な医療を提供すべく取り組んでいます。加齢 変性疾患を含む運動機能障害、骨折に代表される外傷、神経障害、スポーツ障害、変形等対象は広い分野に及びます。 また、富山県の3次救急を担う当院では、日中、夜間を問わず多くの重度外傷患者が搬送されており、その運動器外傷の治療を当科が担当しています。

 当科での2015年の手術件数は1330件でした。県の基幹病院として高度・先進的医療を担っており、関節外科医が行う人工関節置換術は股関節、膝関節を合わせて250件、脊椎脊髄外科指導医による脊椎手術は158件など良好な成績を上げています。大腿骨頸部骨折、外傷によるその他の骨折は448件、手の外科領域の手術は約273件です。

 主に手術を前提として治療を行っておりますので、受診される際には整形外科医師からの紹介状持参をお願いしております。また近年の高齢化に伴い、合併症を有する患者さんが総合的な治療と手術を求めて紹介受診されることが増えています。持病をお持ちの方の受診に際しては、現在かかっている医療機関からの紹介状とともに服薬している薬剤を持参していただき、開放病床を利用して共同診療・連携を行い、継続した治療をお勧めしています。高齢者の大腿骨骨折などでは、前医からの投薬治療を継続しつつ、退院へ向けて近隣のリハビリ施設等と連携して治療を継続するようにしております。

・人工関節手術
人工股関節置換術(2015年現在)
 最小侵襲手術(MIS):2003年より導入。現在ほとんどすべての患者さんにMIS手術で治療を行っています。
術前計画:すべての患者さんに対し,術前にコンピューター上で,シュミレーション手術を行い,個々の患者さんにあった人工関節の選択や挿入状態の確認,決定を行います。また,非常に変形が著しい患者さんの場合,術前に実際の股関節の実物模型を3Dプリンターで作製して,手術計画や手術に利用します(高度先進医療)。
入院期間:7-10日間が基本です。
リハビリテーション:術翌日より歩行練習を行います。

人工膝関節置換術(2015年現在)
 小侵襲手術(LIS):2012年より導入。現在ほとんどすべての患者さんにLIS手術で治療を行っています。
術前計画:すべての患者さんに対し,術前にコンピューター上で,シュミレーション手術を行い,個々の患者さんにあった人工関節の選択や挿入状態の確認,決定を行います。
入院期間:2週間が基本です。
リハビリテーション:術翌日より歩行練習を行います。

・関節鏡視下半月板切除
局所麻酔で1泊2日で手術を行なっています。
術直後より飲食可能で、術後2時間から歩行してもらっています。

・関節鏡視下靱帯断裂形成手術(膝前十字靭帯再建術)
 全身麻酔下に薄筋半腱様筋腱の二重折りでBone mulch screwを用いた固定を行なっています。
入院期間:1週間が基本です。
リハビリテーション:術翌日より装具なしで歩行練習を行ないます。

・脊椎手術
 脊椎の変性疾患(頸椎椎間板ヘルニア・頸椎症性脊髄症・頸椎後縦靭帯骨化症・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症など)のみならず脊椎外傷や脊椎転移の手術も行っております。
脊椎外傷・脊椎転移・一部の変性疾患などの固定術(脊椎を安定化させる手術)が必要な場合には小さい傷でスクリューが刺入でき,体への負担の少ない低侵襲手術を導入しております。
入院期間は約1~2週間程度です。

・手の外科手術
 上肢神経障害(手根管症候群、肘部管症候群など)や腱損傷、切断指、手指腫瘍、関節症など,手の手術に関して幅広く対応しています。
日帰り、1~2週間程度まで症例に応じて対応します。

診療担当表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診(初診) 橋本(手) ※上島
(股・膝)
笹川
(脊椎)
中村
(股・膝)
丸箸
(膝・肩)
2診(再診及び初診) 中村
(股・膝)
※笹川
(脊椎)
丸箸
(膝・肩)
上島
(股・膝)
橋本
(手)
3診(初診) 舩木
(一般)
森永
(一般)
舩木
(一般)
3診(再診) ※中村 ※橋本
5診(再診) ※丸箸 舩木
6診(再診)

※は1日外来
手術日…月、火、水、木、金
装具…月、水、木、金
火曜午後の丸箸は、スポーツ外来も実施

医師紹介

医師名・職位 専門分野 資格
部長・医長 中村琢哉 部長
中村 琢哉
(なかむら たくや)
関節外科 医学博士
金沢大学医薬保険学域医学類臨床准教授
日本整形外科学会専門医
日本股関節学会学術理事
変形性股関節症ガイドライン委員
日本人工関節学会評議員
中部整形外科災害外科学会評議員
日本体育協会公認スポーツドクター
富山県整形外科勤務医会長
部長 丸箸兆延 部長
丸箸 兆延
(まるはし よしのぶ)
関節外科、スポーツ整形外科 医学博士
日本整形外科学専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
部長 橋本典之 部長
橋本 典之
(はしもと のりゆき)
手外科、小児外傷 整形外科専門医
医長 笹川武史 医長
笹川 武史
(ささがわ たけし)
脊椎外科 医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医
医長
舩木 清伸
(ふなき きよのぶ)
日本整形外科学会専門医
医長 上島謙一 医長
上島 謙一
(うえしま けんいち)
整形外科一般 医学博士
日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
医師
香川 桂
(かがわ かつら)
整形外科一般 日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
医師
森永 整
(もりなが せい)

診療体制

 整形外科は外来診療と入院診療を行っております。
 当科では関節外科・スポーツ外科・脊椎外科・手の外科など、各部位別の専門医による診察を基本としており, 高度な技術を要する手術を多数行っております。
 このため地域の診療所(医院)や病院からの紹介・予約が中心となっております。
 よって次の通りの診療体制となっておりますので, 御理解・御協力をお願い申し上げます。

外来診療

月曜~金曜日の午前中(初診も含め基本的に予約制)
火・木曜日の午後(完全予約制)

初診外来について

●紹介状をお持ちの方●
診察をいたします。

●紹介状をお持ちでない方●
診察ができません。
ただし緊急性の高い場合は、この限りではありません。

入院診療

 当科では多くの疾患で、クリニカルパス(過去の治療を参考に作成した各疾患に対する治療ガイドライン)を用い、医師・看護師・理学作業療法士などがチームプレーで個々の患者さんに対し治療を行っております。

1.対象となる疾患

 整形外科では首から下のすべての運動器を扱うため、対象とする疾患は数多くあります。その中でも外来でよくみられる疾患について紹介します。

1.外傷

 事故やスポーツなどで急にケガをした場合、特に骨や関節、腱、靱帯の損傷が疑われる場合には、整形外科が担当します。単なる捻挫と思って放っておいて、後になって実は骨折や靱帯損傷であったというような場合があります。ギプスなど固定を必要とするものや中には緊急に手術を必要とするものもあり、自分勝手な判断は禁物です。きっちり整形外科医の診察を受けることが必要です。当院では骨折や脱臼といった通常の外傷の手術はもちろん、スポーツによる靱帯損傷の手術など、幅広く治療を行っています。さらに最近では関節鏡を用いた小切開での手術など常に最小侵襲手術を心がけています。

2.関節疾患

 全身には沢山の関節があります。たとえば、肩関節、肘関節、股関節、膝関節、足関節のような大きな関節もあれば、指関節のような小さな関節もあります。関節の問題はいろいろな原因(関節リウマチなどの全身の病気、怪我、先天的な形の異常、過度の使用など)で生じます。また、問題が生じた関節の状態もいろいろですし、その程度も軽傷から重傷まで様々です。つまり、関節の問題は一様ということはなく、個人個人でばらばらです。関節の治療はこれらのことを総合的に考慮した上で方針をきめていきます。治療には筋力訓練や関節内注射などの手術を要しない方法を行なうこともあれば、手術治療を行なうこともあります。

3.脊椎疾患

 脊椎疾患には種々の症状があります。首から肩、背中、腰などの痛みは、背骨や靱帯の変化や、その周囲の筋肉の衰えやこわばりなどがもとになっておこります。また、脊椎(背骨)の中には脊髄という手足をつかさどる神経が走っており、これが障害を受けると、手足のしびれや痛み、麻痺などの症状が出ることがあります。局所の痛みに対しては、ほとんどの場合投薬、リハビリテーションなどで対処が可能ですが、神経の症状に対しては手術的な治療を要する場合もあります。

4.手の外科

 手は人間の体の中で、もっとも細かい運動を行う部分であり、手の痛み、しびれ、指が伸ばすことができないなどの症状が出現すると、日常生活で様々な障害が出てきます。これに対して、当院では、投薬、リハビリテーション、手術などの方法で治療を行います。また、当院では切れた神経をつなげたり、切断した指をつなげたりする手術も行っています。

2.手術について

 当科における平成27年の手術件数は1330件でした。

(1)関節(股・膝・肩) 476件
(2)脊椎 158件
(3)手の外科 273件
(4)骨折 448件

(※一部重複あり)

以下、当科で行っている治療の一部について解説します。

3.関節外科

関節の障害は多岐にわたっています。したがって、手術療法もカメラ(関節鏡)を使用した手術から骨切り術、人工関節手術など種々存在します。ここでは、当院での人工関節手術について説明します。

人工関節手術

人工関節置換術は主に股関節、膝関節を行っています(肩関節や肘関節もありますが、手術になる方は少数です)。2015年の人工関節手術数は250例で年々増加傾向にあります。

当院の目指している人工関節手術の特徴は?

コンピューターによる手術計画 早期社会復帰および長期間の耐用が挙げられます。
 長期間持つ人工関節のためには、人工関節そのものの質が重要ですが、沢山ある人工関節の中でどの人工関節が個々の患者さんに合うかを選択することも重要ですし、正確な手術も重要な要素です。このため、 当院の人工股関節手術では手術前の計画を一般的なレントゲンを使用した2次元の計画に加え、CTを利用した3次元でのコンピューターによる計画も立てています。また,非常に変形が著しい患者さんの場合,術前にその方の股関節の実物模型を3Dプリンターで作製して手術計画や手術に利用します(高度先進医療)
実物模型による手術計画

4.スポーツ外傷および障害

 小児から高齢者に至るまでスポーツが盛んに行われる今日、スポーツによる骨折・脱臼・靱帯損傷など(スポーツ外傷といいます)や、繰り返し動作による骨・関節・靱帯・腱・筋肉・神経の損傷(これらをスポーツ障害といいます)は年を追うごとに増加しています。
 安静やスポーツレベルを一時的に落とすだけで治癒へ向かう病態もありますが、中には適切な治療を行わないとスポーツの継続のみならず日常生活動作さえも難しくなる病態も数多く存在します。
 これらの判断は専門医の診察が必要であり、整形外科を受診して相談されることをお勧めします。
 スポーツ外傷および障害は全身のどの部位にも起こりうるものですが、ここでは反復性肩関節(亜)脱臼と膝前十字靱帯断裂についてご紹介します。

整形外科photo【反復性肩関節(亜)脱臼】
 肩関節は人体の中で最も脱臼しやすい関節です。
 初回脱臼後に肩が抜けやすくなってしまった状態のことを反復性肩関節(亜)脱臼といい、若年者ほどなりやすいといわれています。
3回以上脱臼を繰り返したり、肩が抜けそうな不安感が持続したりする場合には手術的治療が必要となることが多く、専門医の診察と精密検査をお勧めします。
 反復性肩関節(亜)脱臼では線維軟骨でできた脱臼制動組織が損傷していることがほとんどで、手術ではこれを修復するとともに脱臼を繰り返したことで発生した二次損傷に対する処置も同時に行います。
 当科では内視鏡を用いた手術も行っており、入院期間は2週間前後です。競技への復帰には半年程度を要し、その間外来でリハビリを含めた治療を行います。

【膝前十字靱帯断裂】
 スポーツに伴う膝関節外傷として多いのは半月板損傷と靱帯損傷です。
 膝関節は人体中最も大きい関節で、その機能を十分に発揮するには周囲の靭帯が正常に機能していることが必要です。
 重要な靭帯として内側・外側側副靭帯、前・後十字靱帯がありますが、スポーツで受傷しやすいのは内側側副靭帯と前十字靱帯です。
 前十字靱帯はギプスや装具で治療することが困難な靭帯で、再建術という手術が必要となります。
 再建術には再建に使用する材料が必要で、当科では膝を曲げる腱の一部を用いて内視鏡下に手術を行っています。
 入院期間は術後1週間です。競技への復帰時期は種目によりますが、2ヶ月すぎから練習を再開し試合への復帰はおよそ6ヶ月から1年程度必要です。
膝前十字靱帯断裂

 上述したように、スポーツ外傷・障害は全身多岐に渡って発生します。当科では各部位の専門医が常勤しており、トータルで診療することが可能な体制を整えています。

5.脊椎脊髄外科

図1.第4腰椎変性すべり症を伴う腰部脊柱管狭窄症患者の術前MRI画像図2.術後単純X線像図3.術後1年時のMRI
腰部脊柱管狭窄症
 高齢化に伴い脊椎の疾患を罹患する方は増加傾向にあります。特に多い疾患が腰部脊柱管狭窄症による歩行障害を訴えてこられる方です。
 こういった患者さんに対する治療にも、保存的治療と手術的治療があるわけですが、当科ではかかりつけの先生のところで保存療法(内服薬、注射薬、ブロック治療など)を行っても効果がなく紹介となった患者さんに対して手術を行っています。手術は病態に応じて神経の圧迫を取り除く除圧術や脊椎の変形の矯正や安定性の獲得のために固定術(図1~3)を行っております。近年、脊椎に対して経皮的にインプラントが挿入可能なシステムが開発され、当院でもほとんどの脊椎固定術をこのシステムを用いて行っています。そのため固定術であっても術後2日目で歩行を開始し、術後2週ほど(早ければ1週間)で退院可能なことが多く、除圧術単独と比べてもそれほど入院期間に差がなくなりました。
 その他には腰椎椎間板ヘルニアに対するヘルニア摘出術、頸椎症性脊髄症に対する椎弓形成術や、頸椎前方固定術、脊椎外傷、脊椎転移、脊椎感染症に対する手術など1年間に約150例の脊椎手術を行っています。また、側弯症に関しても金沢大学整形外科と連携し、手術を行っております。

6.手の外科

 手の外科は整形外科の中でも、外傷に関わる、最も急患の多い専門分野です。そして、その内容は末梢神経、微小血管外科を含み手、指、前腕、肘のみならず足のケガや肩の神経まで及んでいます。犬や猫に咬まれた傷、釘が刺さったもの、指の小さな骨折から指の切断症例まで、専門性を要する多くの外傷の緊急手術を行なっています。
また、手や指にできる腫瘍(できもの)の手術も行なっています。手や指は造りが細かいために、腫瘍を切除する際には、神経、血管などの重要な構造を温存し、手の機能を少しでも損なわないように手術を行なわなければいけません。当科でも、多くの手の腫瘍の手術を施行しています。
 主に高齢者の手首での骨折(橈骨遠位端骨折)の治療として、金属性のプレートによる固定を行なっています。

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