富山県立中央病院

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内科(消化器)

概要

内科(消化器)photo

 診療の基本姿勢としては、入院中心型医療と考えており、外来 診療においては、がんの外来化学療法も含め可能な限りかかりつけ医をもって もらうよう指導しています。また、がんや肝疾患の都道府県診療連携拠点病院 として、診療ガイドラインに準拠しつつも、個々の患者さんに応じたテイラーメイ ド医療にも配慮しています。診療内容は多岐に亘っており、消化管から肝胆膵 まで幅広い領域において高度専門的な診断・治療を実施しています。

shoukaki001 消化管領域に関しては、内視鏡診断・治療に重点を置いています。内視鏡診断では、拡大内視鏡、特殊光内視鏡(NBI 検 査)による癌の精密診断を行なっています。また、ダブルバルーン小腸内視鏡ならびにカプセル内視鏡を取り入れ全消化管の観察が 可能となっています。内視鏡検査では、食道、胃、大腸の早期癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は2011年までに計 1200例を越え、今後も症例数の増加が予想されています。
 肝臓病領域に関しては、C 型肝炎に対するインターフェロン治療は年間50例を超える導入症例数であり、肝細胞癌や転移性肝癌 に対するラジオ波焼灼術は年間約60例、肝動脈塞栓術は年間約130例などとなっています。
 胆膵疾患領域では、超音波内視鏡下穿刺細胞診(EUS-FNA)を積極的に施行し従来組織診断が困難であった膵癌、胆管癌、 胆嚢癌などの治療前診断に役立てています。また、ERCP や総胆管結石除去術や悪性胆道狭窄へのステント挿入術なども積極的に行なっています。
shoukaki002 消化器癌の化学療法は、EBM に基づくガイドラインに準拠し当科のアルゴリズムにより選択し施行しています。がん薬物療法専門 医2名を中心に2008年度から通院治療室で外来化学療法を行なっており、2011年度の消化器癌症例は2000例以上でした。
 この他、患者さんやご家族に病気に対する正確な知識と理解を得る目的に肝臓病や炎症性腸疾患教室をそれぞれ年4回、年2回 定期的に開催しております。

診療担当表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
再診10 水上 在原 松田(耕) 松田(耕) 水上
再診11 松田(充) 酒井 松田(充) 酒井 在原
再診13 矢野 堀田
(消腫瘍)
堀田
(消腫瘍)
堀田
(消腫瘍)
矢野

医師紹介

医師名・職位 専門分野 資格
部長 酒井明人 部長
酒井 明人
(さかい あきと)
消化器病、肝臓病、消化器内視鏡、ウィルス性肝炎 日本消化器病学会専門医・北陸支部評議員
日本肝臓学会専門医・西部会評議員
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医・指導医・北陸支部評議員
日本カプセル内視鏡学会指導医
医学博士
部長 松田充 部長
松田 充
(まつだ みつる)
消化器病、消化器内視鏡、消化器癌に対する内視鏡治療 日本内科学会認定内科医・指導医
日本消化器病学会専門医・北陸支部評議員・本部評議員
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・北陸支部評議員・社団評議員
ヘリコバクターピロリ菌感染症認定医
医学博士
医長 松田耕一郎 部長
松田 耕一郎
(まつだ こういちろう)
消化器内視鏡、消化器病、胆膵疾患、炎症性腸疾患 日本内科学会認定内科医・指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会認定専門医・指導医・北陸支部評議員・学会評議員
日本肝臓学会専門医
医長 堀田洋介 医長
堀田 洋介
(ほりた ようすけ)
消化器病、腫瘍内科、がん化学療法 日本内科学会認定内科医・指導医
がん薬物療法専門医
がん治療認定医
日本臨床腫瘍学会指導医
日本消化器病学会専門医
医長 在原文教 医長
在原 文教
(ありはら ふみたか)
消化器内科一般 日本内科学会認定内科医
日本消化器内視鏡学会専門医
医学博士
副医長 矢野正明 医長
矢野 正明
(やの まさあき)
消化器内科一般 日本内科学会認定内科医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本肝臓学会専門医
日本消化器病学会専門医
副医長 水上敦喜 副医長
水上 敦喜
(みずかみ あつよし)
消化器内科一般 日本内科学会認定内科医
副医長
木田 明彦
(きだ あきひこ)
医師
西野 美智子
(にしの みちこ)
医師
杉本 宰甫
(すぎもと さいほ)

治療について

胃がんに対する内視鏡治療

 我が国において、胃がんは年間約13万人が新規に診断され、年間約5万人が死亡する罹患数第1位、死亡数第2位のがんです。しかしながら、がん検診の普及や内視鏡機器の発達により、現在では約50%が早期がんの段階で発見されるようになりました。早期胃がんの治療法には、手術と内視鏡的切除がありますが、がんの深さが浅くリンパ節転移のない段階であれば内視鏡を用いて病変部をきちんと切除さえすれば治癒が見込めます。リンパ節転移の有無については、治療前に確実に分かる検査法がないため、胃がんの組織型(顕微鏡検査で見たがんのタイプ)、大きさ、深達度(がんの深さ)、潰瘍の有無などから総合的に予想します。
 内視鏡的切除の方法には、EMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)があります。EMRは胃の粘膜病変を挙上して鋼線のスネアをかけ、高周波により切除する方法です。これは以前からある簡便な方法ですが、2cm以下の小さな病変でも1回の切除で取り切れない場合があり、取り残しによる治療後の再発を10〜20%に認めていました。一方、ESDは高周波ナイフを用いて病変周囲の粘膜を切開し、病変直下の粘膜下層を直接剥離して切除する方法で、 2006年に医療保険の適応として認可された比較的新しい方法です(図1〜図10)。EMRに比べると高度な技術を必要としますが、2cm以上の大きな病変やEMRでは取りにくい場所であっても1回の切除で完全な切除ができるため、治療後の再発はほとんどありません。内視鏡的切除に伴う偶発症としては、治療中の出血や穿孔(胃に穴が開くこと)、切除後に形成される潰瘍からの出血などがあり、EMRよりもESDで頻度が高いとされています。
 当院では2003年からESDを導入し、現在は4〜5日間の入院で治療を行っています。これまでに約2000件の治療経験がありますので、早期胃がんと診断された患者さまはお気軽にご相談ください。

FIGURE LEGENDS

図1.胃底部に発生した隆起型の早期胃がん(黄色線で囲んだ部分)図1.胃底部に発生した隆起型の早期胃がん(黄色線で囲んだ部分)

図2.病変部の近接像図2.病変部の近接像

図3.病変の周囲を高周波でマーキング図3.病変の周囲を高周波でマーキング

図4.高周波ナイフを用いて周囲粘膜を切開,粘膜下層を剥離図4.高周波ナイフを用いて周囲粘膜を切開,粘膜下層を剥離

図5.切除後潰瘍図5.切除後潰瘍

図6.切除後潰瘍の近接像図6.切除後潰瘍の近接像

図7.クリップ装置を用いて切除後潰瘍を縫縮図7.クリップ装置を用いて切除後潰瘍を縫縮

図8.縫縮後図8.縫縮後

図9.切除標本図9.切除標本

図10.切除標本の実体写真図10.切除標本の実体写真 37×32mmの早期胃がんであった

C型肝炎に対する抗ウイルス療法

 C型肝炎は第二の国民病ともいわれる感染症で、血液を介して感染するためにC型肝炎の存在がわかった1989年以前に輸血・手術などが行われた人に感染の危険があります。自覚症状の無い間に慢性肝炎から肝硬変、そして肝癌へと進展する危険のある病気です。C型肝炎ウイルスに感染していても肝障害が認められない人もいますので、採血で「HCV抗体」検査を行うことが重要です。現在の医療・生活環境ではC型肝炎に感染することは非常にまれなので、「一生に一回検査を受ける」ことが重要です。
 C型肝炎は自然に治ることはまずありません。1992年から使用されたインターフェロン療法は非常に期待された治療で、実際にC型肝炎ウイルスが消失した人が多数いましたが、全体ではわずか10%ほどの人でした。また週3回、半年間通院が必要であり、発熱、食欲不振、倦怠感の副作用がほとんどの人ありました。2004年に週1回の注射でよいペグインターフェロンと内服抗ウイルス剤であるリバビリンの併用療法で約50%の人のウイルスを消すことが出来るようになりました。しかし1年間の投与が必要で、副作用は変わらず大変でした。

C型慢性肝炎(1型)に体する治療効果 2013年にインターフェロン(注射)を必要としない内服だけの抗ウイルス療法としてダクラタスビル・アスナプレビル併用療法がでました。半年間内服するだけで、副作用も少ない中で85%の人のウイルスが消失しました。薬が効きにくいウイルス(薬剤耐性)であるか事前に調べれば、90%以上の人が治ることが分かりました。現在は薬剤耐性ウイルスにも強い内服抗ウイルス剤がでており、ほぼ100%近い人が、治療期間3ヵ月で治ります。非常に高価な薬剤ですが、肝炎治療助成制度を利用すれば月2万円以下で治療できます。
 C型肝炎は治らない国民病から、「治療すれば治る病気」に変わりました。

消化器癌の最新化学療法

 消化器癌において化学療法は、以下の3つの状況で行われます。
<術前化学療法>手術の前に、腫瘍縮小により手術の安全性や成績を高める目的で行う。
<術後化学療法>手術の後に、画像では確認されない微少な転移を抑え、再発リスクを減らす目的で行う。
<切除不能進行癌に対する化学療法>癌の縮小や進行を抑える目的で行う。
 その他、元々切除不能であるが化学療法を行う事で切除可能となるような治療を「conversion chemotherapy」と呼びます(conversionとは変換・転換という意味ですが、conversion chemotherapyに適正な和訳はまだありません)。

 化学療法は、毎年のように新しい薬剤や治療方法が出現し、進歩のスピードが速い分野と言えます。ここ2年の間(2014-2015年)に当科で新規採用した治療法を各臓器別に並べますと、
【食道癌】 DCF療法(ドセタキセル+シスプラチン+5FU併用療法)
【胃癌】 SOX療法(S-1+オキサリプラチン併用療法)、XELOX療法(カペシタビン+オキサリプラチン併用療法)、パクリタキセル+ラムシルマブ併用療法、ラムシルマブ単剤療法、5FU+ロイコボリン療法
【大腸癌】TAS-102療法、FOLFOXIRI療法(5FU+ロイコボリン+オキサリプラチン+イリノテカン併用療法)、FOLFOXIRI+ベバシズマブ療法
【肝臓癌】DEB-TACE(シスプラチン使用)
【膵臓癌】ゲムシタビン+nabパクリタキセル併用療法
【神経内分泌腫瘍】ストレプトゾシン療法

 以上が2年の間に当院で新規採用された治療薬やレジメンです。
今後も常にアンテナを張り、最良の治療を患者さんに提供できるよう努力して参ります。

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