富山県立中央病院

文字の
サイズ

  • 文字を大きくする
  • 文字を小さくする

お知らせ

内科(内分泌・代謝) 一般向けのお話

2016/03/17

見落とされがちな内分泌・代謝系の病気について

1.全身の症状

A.疲労感、倦怠感、筋力低下
 副腎皮質ホルモンの不足により疲労感や倦怠感がでていることがあり、下垂体機能低下症や副腎不全、長期ステロイド服用後の中止でみられることがあります。甲状腺機能低下症でも倦怠感や筋力の低下をきたすことがあります。クッシング症候群や原発性アルドステロン症やバーター症候群でも低カリウム血症などの電解質異常を伴い筋力低下をきたします。これらの場合、原因である内分泌疾患の治療やホルモン補充療法により症状が改善することが期待されます。

B.食欲の急激な低下、体重減少
 上記の副腎不全の他に副甲状腺機能亢進症など高カルシウム血症をきたす病気は急激な食欲低下を招きます。また食欲低下がないまま体重減少がおきる場合は代謝亢進状態を伴う病気、すなわち甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫が疑われます。また糖尿病の血糖コントロール不良時でも急激な体重減少をきたします。ホルモン異常による食欲低下・体重減少については、血液や尿検査で診断ができます。

C.体重増加
 ほとんどの体重増加は「肥満」によります。クッシング症候群では体の中心に脂肪沈着が集中し中心性肥満と呼ばれる状態となります。甲状腺機能低下症では浮腫を伴い体重が増加します。しかしながら、四肢の浮腫として気づかれる体重増加のほとんどは水分の増加によるものですのでこの場合は内分泌以外の病気も調べる必要があります。

D.体温の異常
 甲状腺機能亢進症で耐熱能の低下がみられます。低体温は甲状腺機能低下症の著しい場合でみられます。その他褐色細胞腫でも微熱を伴います。

E.皮膚の異常
(1)色素沈着の異常

 全身、特に口唇、耳、四肢関節の外側、口腔内の色素沈着はアジソン病でよくみられます。逆に色素が低下する疾患として下垂体機能低下症があります。甲状腺機能低下症の場合、カロチンの代謝も低下するため手のひらは黄色調であるのが特徴です。頸部や腋の下が肥厚し色素沈着を伴う場合、クッシング症候群や先端巨大症、その他、インスリン受容体の異常を伴う特殊な糖尿病のこともあります。

(2)体毛の異常
 体毛の発育にはアンドロゲンという男性ホルモンが関係します。アンドロゲンが増えると剛毛となりにきびも増加しますが、クッシング症候群、多のう胞性卵巣でみられることがあります。逆にアンドロゲンが減少すると体毛が脱落します。下垂体機能低下症、性腺不全でみられます。甲状腺機能低下症でも腋毛、恥毛、眉毛の脱落がみられます。

(3)皮膚の状態の変化
 皮膚が粗く肥厚し末端が肥大する結果、鼻翼、口唇部や四肢末端が肥大する病気が先端巨大症です。甲状腺機能低下症では皮膚は冷たく、浮腫を認めますが、押しても圧痕を残さないのが特徴です。クッシング症候群では皮膚が薄く毛細血管も拡張するため全体的に紅色調が強くなります。

(4)顔つき、眼、舌、声などの変化
 先端巨大症、甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症などの顔貌はそれぞれ特徴的です。また先端巨大症、甲状腺機能低下症では舌が大きくなる、声が変わるなどの症状がみられます。甲状腺機能低下症では話し方がゆっくりになる方もいます。目つきが鋭くなるのはバセドウ病の特徴であり、これは眼球が突出したり瞼が萎縮したりするためにおこります。

2.消化器症状

A.下痢
 原因不明の下痢が続く場合、副腎不全のことが稀にあります。大量の水様性下痢をきたす病気として膵臓にVIPやガストリンというホルモンが多量に作られる腫瘍が存在していることもあります。他に甲状腺の髄様癌、カルチノイド腫瘍などでも下痢をきたすことがあります。軽度の下痢は甲状腺機能亢進症や糖尿病による自律神経障害でもみられます。

B.便秘
 高カルシウム血症がある場合よくみられ、副甲状腺機能亢症が隠れていることがあります。糖尿病による自律神経障害でもよくみられます。

C.検査値から
 健康診断などでGOT、GPT、TTT、ZTTの異常で肝臓の病気が疑われた場合、甲状腺機能低下症のことがあります。ALPだけが高い場合、甲状腺機能亢進症のこともあります。

C.検査値から
 健康診断などでGOT、GPT、TTT、ZTTの異常で肝臓の病気が疑われた場合、甲状腺機能低下症のことがあります。ALPだけが高い場合、甲状腺機能亢進症のこともあります。

3.循環器系の症状

 頻脈や心房細動と呼ばれる不整脈がある場合は甲状腺機能亢進症のことがあります。逆に徐脈は甲状腺機能低下症でよくみられます。
 高血圧は内分泌疾患でよくみられます。原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫では高血圧を伴います。高血圧と診断された場合、一度はこのような内分泌の病気を否定しておく必要があります。レニン、アルドステロン、カテコールアミンなどのホルモンを測定すれば診断できます。

4.精神・神経症状

 甲状腺機能亢進症では不機嫌、いらだちを、甲状腺機能低下症ではのんびりした感じから進行例では幻覚・妄想状態から昏睡に至るまでさまざまです。副腎不全では、外界からの刺激にあまり反応がなくなるなどの症状が出現、進行すればやはり昏睡状態になります。副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症では痙攣、てんかん様発作がみられます。クッシング症候群では多幸的となったりうつ状態となったり感情的になったりとさまざまです。
 四肢近位筋群の筋力低下はクッシング症候群、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、原発性アルドステロン症でみられます。糖尿病末梢神経障害が進行した方では四肢末端の筋力が知覚とともに障害されます。

5.体型、骨、関節症状

 成長が障害される病気として甲状腺機能低下症や下垂体機能低下症があります。偽性副甲状腺機能低下症では丸顔で手足が短くやや肥満し薬指と小指の短縮が見られます。骨端線の閉鎖前に成長ホルモンの過剰な分泌が生じる場合を巨人症、閉鎖後に生じる場合を先端巨大症といいます。後者では前述の特徴的な顔つきと皮膚の変化、骨の変化より比較的容易に診断がつきます。副甲状腺機能亢進症では椎骨の圧迫骨折が多発して身長が低くなったり骨・関節の変形をきたすことがあります。

6.尿路系の症状

 尿量の増加は糖尿病、尿崩症、心因性多尿でみられます。尿崩症では尿比重が低くなります。尿路結石をきたす内分泌の病気は男性より女性に多く見られ、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、ビタミンD治療中の方でみられることがあります。

7.性機能に関係する症状

 女性で生理がなくなることは、運動過多や急激な体重増加・減少、神経因性食思不振症でも起こります。
 間脳・下垂体系の内分泌の病気ではプロラクチン産生腫瘍、薬剤による高プロラクチン血症があげられます。また、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症では月経異常がみられます。
 男性でもプロラクチン産生腫瘍などで高プロラクチン血症がおきると性機能障害となり男性の不妊の原因となることもあります。男性の性欲の減少やインポーテンスをきたす場合は内分泌の病気以外の場合がほとんどですが、間脳・下垂体からのホルモン分泌異常による続発性性腺機能不全の場合があります。

お知らせ一覧へ戻る

ページトップに戻る