富山県立中央病院

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お知らせ

月経痛・子宮内膜症専門外来 について

2021/03/31

2021年1月より北陸で初めての月経痛・子宮内膜症専門外来を開設します。

月経痛・内膜症外来

外来予約に関して

地域の先生からの紹介につきましては、地域連携室でご予約を承ります。

患者さんから直接お申し込みの場合は、産婦人科外来にてご予約を承ります。
予約受付時間:水曜日の午後2時~午後3時 代表電話 076-424-1531(「産婦人科外来へ」とお伝えください。)

完全予約制となっております。
診察前に問診票を書いていただきますので、時間に余裕をもってご来院ください。

専門外来の対象

「本人が困っている」月経痛は、治療介入が必要な「月経困難症」という病気です。
月経痛の背景に子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症などの婦人科の病気が見つかることがあります。特に子宮内膜症は無治療で放置していると慢性的骨盤痛や難治性不妊症につながることがあります。
さらに子宮内膜症の中でも深部子宮内膜症は診断が難しく、骨盤痛が原因不明とされ適切な治療を受けられていない方も多いことが最近分かってきました。さらに過敏性腸症候群として内科や、原因不明の痛みのため精神科に通院されている方もいらっしゃいます。
月経痛のみではなく、骨盤痛、性交痛、排便痛のある方、周囲に理解されない痛みで辛い思いをされている方、痛みで病院を受診しても原因がわからない方には当外来での検査・診断をお勧めします。

診断について

当院では2020年に更新した最新の超音波検査装置や高性能なMRIによる、国内外の最新情報に基づいた診断法を用いています。
*思春期の方の場合は、まずは経腹超音波検査をさせていただきます。
必要時・同意が得られたときに直腸診や経直腸エコーを行います。

治療について

それぞれの年齢・ライフプランにあわせた治療を提案します。

(1)薬物療法

鎮痛剤での対応に加え、ホルモン療法について提案させていただきます。
ホルモン療法には主に低用量ピル・プロゲスチン製剤・偽閉経療法(GnRHアナログ)があります。それぞれの効果や副作用について説明させていただき、適切な薬剤を選択します。
ホルモン剤の簡略な説明は下記のとおりです。
 低用量ピル:
(長所)定期的に月経が起きるので、いつ性器出血があるか予測できます。
避妊効果があります。
(短所)副作用として血栓症(足の静脈に血の塊ができる)の可能性があります。
とくに喫煙者、肥満、35歳以上の方は注意が必要です。
 プロゲスチン製剤
(長所)血栓症のリスクは上昇しません。
場合により月経による出血がなくなることもありますが、女性ホルモンは保たれるので一般的に更年期症状といわれるものは出ません。
(短所)不正性器出血を起こす場合があります。
複数の製剤があり、避妊効果があるものもあればないものもあります。
 GnRHアナログ
(長所)月経を完全に止めます。
(短所)閉経している状態になるので、ホットフラッシュや動悸といった更年期症状がでる可能性があります。
連続6か月間しか使用できません。長期間の使用は骨粗しょう症のリスクを上昇させます。

(2)腹腔鏡手術

当院では県内で唯一高解像度の4K腹腔鏡で内膜症の診断・治療が可能です。
4Kカメラでは0.1mm未満の子宮内膜症病変も観察可能で(図)、従来正常とされていた中に内膜症患者さんがいることが分かってきました。また性交痛の原因となる深部子宮内膜症手術では、神経を温存する精密な手技も可能になり、論文などで有効な手技を提案しています。手術は内視鏡技術認定医が担当します。

一見正常に見えても微細な子宮内膜症病変が存在することが分かってきました。

骨盤腹膜の内膜症病変

骨盤腹膜の内膜症病変

4Kカメラによる拡大像

骨盤腹膜の内膜症病変<4Kカメラによる拡大像>

子宮表面の内膜症病変

子宮表面の内膜症病変

4Kカメラによる拡大像

子宮表面の内膜症病変<4Kカメラによる拡大像>

 

(3)不妊治療

状況・希望により一般不妊治療・体外受精を提案します。
当院でも不妊治療を行っています。
他院での不妊治療を希望された場合は紹介も可能です。

(4)妊娠分娩管理

子宮内膜症は妊娠すると治ると言われてきましたが、近年妊娠・分娩時のリスクが高い(早産、妊娠高血圧症候群、前置胎盤、帝王切開率が高い)ことが明らかになりました。
子宮内膜症の方は妊娠後も慎重な管理が必要です。
妊娠成立された場合は当院での継続的な管理、または希望がある場合に他院へ紹介も可能です。

外来担当医

草開友理
資格等:日本産科婦人科学会専門医
日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医
日本エンドメトリオーシス学会会員
日本生殖医学会会員
器質性月経困難症に対する適切なホルモン療法等に関わる研修 修了
外来開設にあたって:
不妊担当医として、子宮内膜症のため難治性不妊となっている方々と関わってきました。その経験から不妊症と分かる前に子宮内膜症の治療を開始していれば、難治性になることはなかったのではと考えさせられたため当外来を開設することとなりました。

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