緊急度・重症度の高い患者さんを、正確に初期診療し、
適切に専門医のもとへ。さまざまな専門診療科の充実を背景に、
生きようとする命に、最前の医療で応えます。
365日・24時間体制の、命の砦(とりで)。
富山県の救急医療の“最後の砦”として、当院の救命救急センターは365日・24時間体制で患者さんを受け入れています。重症の外傷、心肺停止、脳卒中、心臓発作、広範囲におよぶ熱傷(やけど)、急性薬物中毒など症状の重い患者さんから、比較的症状の軽い方まで幅広く、年間約15,000名(うち入院患者は約5,200名)を受け入れています。救急車での搬送は年間約6,500件(ヘリコプター搬送 約270 件)と北陸一の件数で、24時間、救急専任医が常駐して対応し、救急科専門指定施設にも指定されています。
さまざまな専門診療科が充実している当院の特長を生かして、診察体制は北米のER(Emergency Room)型を取り入れています。まず救急専任医が患者さんの重症度などを判断するトリアージと、正確な初期診断を行います。その後、患者さんの状態を安定させるためのさまざまな緊急処置を行ったうえで、適切に各科の専門医へ患者さんを引き渡します。
こうした診察のほかにも救急専任医は、病院スタッフや臨床研修医、救急隊員、一般市民の皆さんに、救急医療や災害医療に関する教育を行っています。さらにDMATやドクターヘリでも活動するなど、さまざまな面から救急医療の向上を担っています。
災害現場でも医療の提供に取り組んでいます。
当院は県内で唯一、救命救急センターと、基幹災害拠点病院(基幹災害医療センター)の両方の指定を受けおり、万が一、災害が起きた時に備えて、多数の傷病者の受け入れ体制の整備、災害医療チームの派遣が円滑にできるように常時準備しています。有事に備えて、院内スタッフに対してエマルゴトレーニングシステムを用いた机上災害訓練や大規模災害を想定した実動災害訓練を毎年実施し、その経験に基づいて常に災害対策マニュアルを改定し、非常時でも一人でも多くの命を助けることができる病院づくりに努めています。
災害現場のニュース映像などで、DMAT(ディーマット)と呼ばれる人々を見たことがありませんか。DMATは医師や看護師などで構成され、災害や大事故の現場で、おおむね48時間以内に活動できる機動性をもった専門的な訓練を受けた医療チームです。北陸初のDMATは平成17年(2005)に当院で誕生し、これまで平成19年(2007)の新潟県中越沖地震、平成23年(2011)の東日本大震災やなどで令和元年(2019)の長野での水害など各地での災害に対して活動してきました。令和6年能登半島地震ではDMATが支援活動をおこなったほか、被災地域外搬送として30名以上の被災者を受け入れています。
1秒でも早く、1人でも多く助けるために
平成27年に当院を基地病院としてドクターヘリが初めて北陸の空を飛びました。富山県全域だけでなく岐阜県飛騨地域北部までカバーして、県民のお一人、お一人のご理解とご支援を頂きながら運営され、年間200例以上の出動要請にこたえています。
ドクターヘリには、医薬品、資機材を携帯した医師・看護師が同乗して、速やかに救急現場に向かって救命医療を行います。患者さんの搬送時間が短縮できるだけでなく、症状の重い患者さんの下に医療スタッフが一刻も早く接触して、的確な診断や処置を行うことで、救命率アップや後遺症の軽減にもつながります。1秒でも早く、1人でも多く助けたい…“All for TOYAMA”の精神で活動するドクターヘリは、富山県の緊急医療に新しい可能性をひらきます。