富山県立中央病院

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在宅療養支援室

生活習慣病指導教室とは?

 「生活習慣病」とは食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣がその病気の発症や進行に関与する病気の総称です。具体的には「糖尿病」、「脂質異常症(高コレステロール血症など)」、「高血圧症」、高尿酸血症による「痛風」、「動脈硬化による病気(脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、足の閉塞性動脈硬化症など)」があります。また「肺がん」など様々な悪性腫瘍も生活習慣が原因となる場合があります。このような患者さんは健康的な生活習慣をご自分で確立いただくことが大切です。
 高度急性期病院である当院には、1型糖尿病、若年糖尿病、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠、透析をはじめ糖尿病腎症や糖尿病網膜症など高度な合併症を伴っている方も多く受診されます。
 各診療科で手術などの治療が必要となる患者さんで糖尿病や血圧、脂質のコントロールがうまくいっていない場合もよくあります。このような患者さんに対しては迅速で適切な管理が行なわれるように、そして手術など退院後には在宅で引き続き上手に自己管理していただくことが病気の回復につながります。

 在宅療養支援室のなかの生活習慣病指導室では、様々な生活習慣病をお持ちの患者さんが、当院外来、入院そして在宅に向けて健康管理を継続できるように、地域や院内の多くのチームスタッフとの連携のキーステーションとなり活動しています。

ご利用概要

対 象 糖尿病、脂質異常症、肥満症、高尿酸血症、高血圧症などで、当院内分泌・代謝内科外来通院中の方ならびにご家族
方 法 医師の指示内容に添って生活習慣に関するアドバイスをします
指導者 糖尿病看護認定看護師、日本糖尿病療養指導士が指導にあたっています
場 所 内分泌・代謝内科外来 在宅療養支援室内 生活習慣病指導室


指導内容の紹介

1.指導方針

 生涯にわたって地域の医療機関との連携を図り、患者さんの健康維持に努め、合併症の発症や進展を防止します。特に糖尿病では「オールインワンシステム(図)」のコンセプトのもとに治療の節目にあわせ、きめ細やかな指導を行なっています。

 
この中で①~⑥までの介入ポイントを設定し、療養指導を行っています。

「オールインワンシステム」における指導の概要

①) 初診時 基本的事項の指導を行い、治療への意欲が高まるよう積極的に関わります。
②) 教育入院前 入院のスケジュール表を事前に渡し、血糖自己測定や食事の単位計算など習得内容を説明し、入院治療が効率よく進行出来るようにしています。
③) 教育入院中 毎週カンファレンスを行い、外来通院時の様子を伝え、入院中の状況を把握し療養指導に生かせるよう関わっています。
④) 退院後初回 退院後の在宅での自己管理状況を確認し、実生活に応じた指導を行います。
⑤) 転院前 自己管理の基本的事項を再確認し、病診連携とフォローアップについて説明しています。
⑥) フォローアップ時 「短期外来チェック外来」や「フォローアップ入院」のスケジュールに基づき知識の確認や修正を行い、病診連携につなげています。

以後⑤と⑥の繰り返しにより、長期にわたる生活の質(QOL)の維持を目指しています。

教育入院とは

1) 「教育入院(8日間コース)」
 糖尿病初発の方、教育入院経験のない方、良好な血糖コントロールの維持が難しい方、その他かかりつけ医からのご紹介の方を対象に合併症の精密検査、治療とともに自己管理法を基本から学んでいただくコースです。最近では各診療科で手術などが必要な方に対する術前の血糖コントロールと教育を目的に緊急で入院される方が多くなっています。

2) 「シニア入院」
 高齢の方などで自己管理の必要性がわからない、あるいはインスリン自己注射などの実践が困難な場合に、家族の協力により血糖コントロールが安定すると思われる患者さんを対象に、合併症精査、薬物療法の再調整、糖尿病治療とともに家族を中心に在宅療法を学んでいただくコースです。

3) 「妊娠糖尿病入院」
 妊娠中に発見された耐糖能異常の方が、母子とも健康で安心な妊娠、出産を迎えるために合併症の精査、インスリン導入や調整および妊娠週数に応じた食事療法や日常生活の自己管理方法を学んでいただくコースです。入院中は助産師と連携しながら健やかな出産に向けての専門的な知識も身に付けることができます。

4) 「糖尿病腎症入院」
 糖尿病の三大合併症である糖尿病腎症の発症の予防や進行を阻止するために食事療法を中心に学んでいただくコースです。腎症の病期に合わせた蛋白制限やカリウム制限および血圧管理、浮腫に対する注意事項、日常生活の自己管理方法を身に付けることができます。

フォローアップ対応の糖尿病短期チェック外来とフォローアップ入院とは

1) 「糖尿病短期チェック外来」
 かかりつけ医からの紹介患者さんで治療、教育が必要で入院および当院への継続通院が困難な方やフォローアップ入院が難しい患者さんが、2週間毎に計4回外来受診し、合併症の精査や治療・疾患管理の必要性や知識を学習するコースです。コース終了後、習得状況をかかりつけ医の先生に報告し、定期受診を継続していただいています。

2)3泊4日と週末4泊5日の「フォローアップ入院」
 教育入院から1年後、かかりつけ医から紹介された患者さんおよび当院通院患者さんが、自己管理方法を見直し薬物療法の再調整する機会にしていただいています。併せて入院前に合併症の精密検査を行ないます。生活習慣病指導室では、退院後初回受診時には、フォローアップ退院後の実践状況を確認し、生活上の問題点に対し療養指導を行っています。

2.生活習慣病指導室での具体的な指導項目

1)
疾患(糖尿病、耐糖能障害、脂質異常症、肥満症)の概要
2)
病態や合併症に関する検査の重要性と結果の見方
3)
食事療法の重要性や食品交換表の使用方法の理解
4)
嗜好食品(アルコール、お菓子)、外食の影響
5)
運動療法の効果と実践方法の理解
6)
経口血糖降下薬(内服)の効能、効果、注意事項
7)
血糖自己測定法の手技、注意点と血糖値の解釈
8)
インスリンやGLP-1受容体作動薬自己注射の手技と注意点、管理方法
9)
CGM(持続血糖測定)システム、CSII(持続皮下インスリン注入療法)、SAP療法(パーソナルCGM機能搭載インスリンポンプ療法)管理方法
10)
低血糖の知識と対処方法、予防方法の理解
11)
シックデイの知識と対処方法の理解
12)
手術時、旅行時、災害時の際の注意点の説明
13)
インスリン自己注射中の患者の家族に対するグルカゴン注射指導
14)
身体の清潔の重要性とフットケアの方法
15)
生活行動記録に基づく生活改善点のアドバイスを行う
16)
体重管理方法
17)
医師・管理栄養士と連携した糖尿病合併妊娠、重症肥満症、1型糖尿病、ヤング糖尿病、高齢者糖尿病の方へのサポート、情報提供など
18)
糖尿病重症化予防(フットケア)
19)
このほか、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠、重症肥満症、1型糖尿病、ヤング糖尿病の方へのサポート、情報提供など
20)
治療を受けながら仕事の継続が可能になるための相談 ※1
21)
治療を受けた後、新しく仕事に就くための相談 ※2

※1 毎月第3木曜日に、富山県産業保険総合支援センターから出張相談に相談員が来られます。当院職員と相談員が協力して相談を受けます。
※2 毎月第3木曜日に、ハローワークから出張相談に相談員が来られます。当院職員と相談員が協力して相談を受けます。

3.外来での具体的な指導の流れ

1)手術など他の診療科で治療を行なう上で血糖コントロールが必要な方には

 糖尿病の状態が栄養状態の悪化や感染症になりやすくなり、その結果、傷の治りが悪くなります。糖尿病の方は高血圧や脂質異常症を合併している方も多く、これらの合併症も手術の経過に影響してきます。したがって手術や他の診療科の治療の前から血糖コントロールを良くすることとともに、糖尿病の三大合併症といわれる腎症や網膜症、神経障害もしっかりコントロールし、さらに高血圧などもコントロールされるように、食事療法や薬物療法や日常生活での自己管理をサポートします。

2)妊娠糖尿病の方には

 10か月間の妊娠期には母体や胎児は著しく身体の変化をしています。著しい変化をしている妊婦や胎児を維持するために妊婦の身体からは、さまざまなホルモンが分泌されています。このホルモンの影響で、母体の血糖値が左右されます。胎盤から分泌されるホルモンにより血糖値が変化している妊婦の方に、血糖コントロールがお母さんと赤ちゃんにどのような影響があるのか、良好な血糖コントロールを維持するために何ができるか一緒に考え支援しています。また、助産師との連携を図り、妊娠中の身体的・精神的サポートを行いながら、母子ともに健康を維持し、安心な出産を迎えられるよう努めています。

3)ヤング糖尿病、1型糖尿病の方には

 年齢や生活の環境によって、学校、職場、家庭などで自己管理の支障となる事柄について精神的なサポートやインスリン管理(低血糖やシックデイなど)、インスリン治療、持続インスリンポンプ注入治療(CSII)、SAP療法(パーソナルCGM機能搭載インスリンポンプ療法)などの管理方法に伴う自己管理への強化を図っています。

4)糖尿病腎症の方への「糖尿病透析予防チーム指導」

 医師と管理栄養士、看護師が連携し「早期腎症」の段階から透析予防のためのチーム医療に取り組んでいきます。医師の診察のあと管理栄養士が食事についてアドバイスを行い、引き続き看護師が生活習慣病指導室で日常生活上の管理方法や感染予防、血圧管理、糖尿病腎症教室の案内など実施しています。

5)初めて糖尿病と診断された方には

 糖尿病の基本的な知識を身につけていただき、日常生活において自己管理できるよう支援しています。教育入院は、初めて糖尿病と診断された方ほど学習して生活改善されることで効果があります。一連の基本的事項をテキスト(当院作成「糖尿病学習ノート」)と共に学習できる「糖尿病教室」の受講を強くおすすめします。

検査データの示す意味、糖尿病とはどのような病気であるかを説明

治療の必要性の受け入れ確認

糖尿病教室受講、個別栄養指導、教育入院の紹介

6)治療放置・中断の方には

 糖尿病と生活習慣との関連を認識できず治療方針を受け入れていただけない患者さんに対しては、ご本人のお考えを聴きながら繰り返し指導を行い、再び中断されないよう、少しでもお役にたてるよう努力し続けています。ご家族のご理解とご協力が必要となることもあります。テキスト(当院作成「糖尿病学習ノート」)をもとに一連の基本的事項を学習することができる「糖尿病教室」の受講をお勧めします。

 入院に際しては外来で、事前に教育入院の予定を説明し、入院直後から学習効率が上がるように教育入院の主旨を理解していだだいています。

治療放置・中断された理由を一緒に考える

今後中断されないような対策をたてる

合併症の早期発見、進展予防のための検査説明

治療の継続や自己管理の必要性を理解していただく
↓          ↓
食事療法でできることから指導   教育入院をお勧めする

7)通院中でコントロール不良の方には

 患者さんから話を聴き、患者さん自身が自覚され行動修正できるようサポートします。また具体的な行動記録や食事記録を持参、自己評価していただき、改善点を見出した上でできることから徐々に修正していただくようにします。再度、管理栄養士による指導、糖尿病教室の受講、教育入院などを紹介することもあります。

不良の原因を一緒に考える(食事療法が原因のとき)

食事療法徹底の必要性を理解していただく

食事内容を確認し、行動修正へと導く

個別栄養指導を予約、糖尿病教室受講をお勧めする

 運動療法では、効果や注意事項を説明した上で気軽に行える運動を紹介指導しています。また薬物療法では、適切に行われているか確認しています。民間療法がコントロールを悪化させていることもあります。薬剤師による指導を手配することもあります。

8)不規則な生活パターンの方には

 仕事を理由に何もなさらず、楽観的に考えあまり真剣に取り組まれない方に対しては生活行動を一緒に検討し、何か一つでも効果が得られ、行動修正のきっかけとなればと管理栄養士と連携し不規則勤務の摂取法や糖質の取り方、エネルギー配分の工夫、外食、中食の工夫などアドバイスしています。

実際の生活行動記録を記入持参していただく

生活行動記録を検討し行動修正の必要性を自覚していただく

治療が適切に行われるよう主治医と相談しアドバイスする

個別栄養指導を予約、糖尿病教室受講をお勧めする

その他の取り組み

1)自己管理が困難な方(一人暮らし・ご高齢)の訪問看護ステーションとの連携

 必要な方に対しては医師の指示のもと、包括支援センターの紹介や地域連携室を通し訪問看護ステーションとの連携、医療から保健への糖尿病保健指導依頼の手続きを行い、保健師訪問を予定して行きます。

2)病診連携への取り組み

 富山県の基幹病院として地域の診療所(開業医)や歯科や眼科と連携して治療を継続できるようにしています。医師による合併症の検査が終了し、治療による血糖コントロールがよくなり、さらに自己管理の継続が十分可能と判断されれば、かかりつけ医に逆紹介されます。
①糖尿病医療連携カード発行(番号登録し管理)
 医師の記載による合併症の有無、次回受診予定月や自己管理のワンポイントアドバイスを記載した糖尿病医療連携カードを発行し、各患者さんの糖尿病健康手帳に綴って保管し、自己管理の参考としていただいています。
②地域医療に従事する医療従事者との連携
 当院で月1回、地域の医療従事者の方を交えて、「糖尿病療養指導のための養成講座」の学習会の開催し、情報提供や情報交換を行っています。

4)学習ルームの利用

 診察の待ち時間を有効に利用していただけるよう学習ルームを活用していただいています。診察室前の学習ルームは、DVDなどの視聴、最新の情報掲示、テキスト(当院作成「糖尿病学習ノート」)やパンフレット等を見ていただく自己学習コーナー、また患者さん方々の意見交換の場となっています。

5)富山県立中央病院 糖尿病友の会「四ツ葉会」の紹介

 当院糖尿病外来通院中の患者さんとそのご家族、医療関係者のみならず糖尿病に関心のある方々が集い、お互いの経験や日常生活の管理方法を話し合う、また講演会で糖尿病の知識を深めるなど、糖尿病を持つ人生を有意義に過ごせるよう活動しています。年に1度の総会をはじめ、講演会や料理講習会、ボーリング大会などの行事を通して、会員の親睦を図っています。

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