在宅療養支援室
在宅療養支援室
当院は高度急性期病院であり、1型糖尿病、若年発症糖尿病、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠、高度な合併症(糖尿病網膜症による視力障害、腎症による透析治療など)を伴っている患者さんが多く受診されています。
また、各診療科で手術などの治療が必要となる患者さんで糖尿病や血圧、脂質のコントロールがうまくいっていない場合もあります。このような患者さんに対して適切な管理によって、手術などの治療が安全に行われ、退院後には在宅で適切に自己管理していただけるように支援していきます。
生涯にわたって地域の医療機関との連携を図り、患者さんの健康維持に努め、合併症の発症や進展を防止します。特に糖尿病では「オールインワンシステム(図)」のコンセプトのもとに治療の節目にあわせて、自己管理状況の確認や療養支援を行っています。
自己管理が困難な方(一人暮らし・ご高齢)には包括支援センターの紹介や地域連携室を通して訪問看護ステーションとの連携、医療から保健への糖尿病保健指導依頼の手続きを行い、保健師訪問を予定していきます。
①) 初診時 | 基本的事項の療養支援を行い、治療への意欲が高まるよう積極的に関わります。 |
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②) 教育入院前 | 入院のスケジュール表を事前に渡し、血糖自己測定や食事の単位計算など習得内容を説明し、入院治療が効率よく進行出来るようにしています。 |
③) 教育入院中 | 毎週カンファレンスを行い、糖尿病チーム内で情報共有し、今後の方針の確認など療養支援に生かせるよう関わっています。 |
④) 退院後初回 | 退院後の在宅での自己管理状況を確認し、実生活に応じた療養支援を行います。 |
⑤) 転院前 | 自己管理の基本的事項を再確認し、病診連携とフォローアップについて説明しています。 |
⑥) フォローアップ時 | 「短期チェック外来」のスケジュールに基づき知識の確認や修正を行い、病診連携につなげています。 |
以後⑤と⑥の繰り返しにより、長期にわたる生活の質(QOL)の維持を目指しています。
ご利用概要
対 象 | 糖尿病、脂質異常症、肥満症、高尿酸血症、高血圧症などで、当院内分泌・代謝内科外来通院中の方ならびにご家族 |
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方 法 | 医師の指示内容に添って療養支援に関するアドバイスをします |
担当者 | 日本糖尿病療養指導士、糖尿病看護認定看護師 |
場 所 | 内分泌・代謝内科外来 在宅療養支援室 |
療養支援内容の紹介
糖尿病教育入院
「7泊8日教育入院」
糖尿病初発の方、教育入院経験のない方、良好な血糖コントロールの維持が難しい方、その他かかりつけ医からのご紹介の方を対象に合併症の精密検査、治療とともに自己管理法を基本から学んでいただくコースです。また、各診療科で手術などの治療が必要な方に対する術前や治療前の血糖コントロールと教育を目的に入院されます。
教育入院のなかで、高齢の方を対象にした「シニア入院」や「妊娠糖尿病入院」、「糖尿病腎症入院」といった対象に合わせた教育も行っています。
糖尿病短期チェック外来
かかりつけ医からの紹介患者さんで、治療や教育が必要で入院が難しい患者さんを対象にした外来受診コースです。外来通院中に合併症の精査や治療の変更、疾患管理法について学んでいただき、コース終了後はかかりつけ医へ逆紹介し、かかりつけ医で定期受診を継続していただいています。
逆紹介時には「糖尿病医療連携カード」を発行しています。医師の記載による合併症の有無、次回受診予定月や自己管理のワンポイントアドバイスを記載し、各患者さんの糖尿病健康手帳に綴って保管し、自己管理の参考としていただいています。
糖尿病フォローアップ外来
糖尿病教育入院後にかかりつけ医に紹介になった患者さんが、年に1回の合併症精査や食事や自己管理法の見直しのためのフォローアップ受診です。逆紹介時に発行した「糖尿病医療連携カード」をお持ちいただいています。
その他の取り組み
富山県立中央病院 糖尿病友の会「四ツ葉会」の紹介
当院糖尿病外来通院またはかかりつけ医へ紹介された患者さんとそのご家族、医療関係者のみならず糖尿病に関心のある方々が集い、お互いの経験や日常生活の管理方法を話し合う、また講演会で糖尿病の知識を深めるなど、糖尿病を持つ人生を有意義に過ごせるように活動しています。新型コロナウイルス感染症以前は年に1度の総会をはじめ、講演会や料理講習会、ボーリング大会などの行事を通して、会員の親睦を図っていました。今後の感染状況や社会情勢をふまえながら毎年の活動を計画し、より豊かな人生を支援していきます。
糖尿病の地域医療に従事する医療従事者との連携
当院では定期的に、地域の医療従事者の方を対象に、「糖尿病療養指導のための講習会」を開催し、糖尿病患者さんの療養支援ため、知識のアップデートや情報交換を行っています。