富山県立中央病院

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富山県立中央病院の「赤ちゃんにやさしいNICU(BFNICU)」認定について

 当院はこれまでも、国際保健機関(WHO)と国際連合児童基金(unicef)により、母乳育児を推進する病院として「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital:BFH)」の認定を受けております。
 その後、2018年のWHO/unicefの実践ガイドにおいて、母乳育児の対象に、新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit : NICU。小さな未熟児や重い疾患を持つ赤ちゃんを数多く治療)に入院する新生児も含まれることとなり、現場で実践されるようになりました。そして今年度から、新たな認定制度「赤ちゃんにやさしいNICU(BFNICU)」が創設されることとなりました。
 このたび、当院が、これまでのNICUでの母乳育児の活動が認められ、全国で初めて、この認定を受けることとなりましたので、お知らせします。
 今後とも本県の基幹病院として、周産期医療や県民の皆様が安心して出産できる体制のさらなる整備・充実、またできるだけ多くの赤ちゃんが母乳で育つことができるよう、特にNICUにおいても母乳育児に努めてまいります。

認定の経緯

1991年に、WHO/unicefが「赤ちゃんにやさしい病院:BFH)」運動を開始。母乳育児成功のための10カ条(後述)を満たしたうえで、母乳育児普及と推進に取り組むことを要件に、施設を認定するもので、当院は2004年に認定を取得

その後2017~2018年に、両機関が新しいBFHのガイドラインを発表。新たに、母乳育児の支援を低出生体重児、早産児にも広げていくことが明記されるとともに、NICUにおいても、母乳育児、またより良い母子関係や児と家族の強い絆を築くことが必要であるとされた。

これに伴い、2021年から欧州各国で「赤ちゃんにやさしいNICU(BFNICU)」の認定が始まり、このたび日本国内でも認定制度が創設。当院が、これまでのNICUでの母乳育児の活動や実施内容が認められ、全国で初めて認定を受けることとなったもの

WHO/unicefが認定する「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital : BFH)」は、元来、NICUを含む施設全体をさしており、この「赤ちゃんにやさしいNICU(BFNICU)」の認定制度は各国独自のもの。日本では、両機関から国内での認定審査業務を委嘱されている「一般社団法人日本母乳の会」が独自に創設

認定日

令和5年8月26日(土曜日)
同日開催の「第31回母乳育児シンポジウム」内で認定式を実施し、発表(主催:(一社)日本母乳の会於:広島市)
今年度、全国7施設が認定(北陸では唯一)

当院の体制

総合周産期母子医療センターとして、
母体・胎児集中治療室(MFICU) 6床
新生児集中治療室(NICU9床、GCU20床) 29床

当院の評価(認定通知書から抜粋)

NICUにおける母乳育児の支援の理念、方針がしっかりしており、家族に寄り添う支援が実践されている。何より、コロナ禍においても母子を離さないことは、家族・子どもにとっての基本的人権を守ることと捉えて実践されていることは素晴らしいことである。感染対策を取りながら、祖父母面会、兄弟面会を再開されていることも評価される。

NICUにおける授乳のための資料、パンフレット類が別に用意されており、NICUにおける特殊性を考慮した母乳育児支援が行われている。

重症例、気管挿管例でも家族がケアに参加できるように促し、早期から愛着形成を育めるように配慮したケアが実践されている。

当院のアピールポイント

1.BFH、母乳育児を推進するスタッフの教育体制と風土があり、周産期母子医療センター内での連携を図っている。
2.低出生体重児・早産児の早期の母子接触やカンガルーケアを医師の指示の下に早期から実施し、母子(父子)分離を改善し、両親の愛着形成につなげている。※カンガルーケア:NICUに入院中の小さな赤ちゃんを保育器から出して、お母さんの胸に抱っこすること
3.コロナ禍でも両親面会をすすめ、NICUの中でも母子同室を実施している。きょうだい・祖父母面会は令和5年4月から再開し、赤ちゃんが家族の一員として受け入れられるよう、積極的に実施している。
4.母乳を大切に扱い、生後早期から可能な限り母乳を児に届けられるよう努力している。

「母乳育児成功のための10カ条(10ステップ)」(2018改訂訳)

1a.母乳代替品のマーケティングに関する国際規準(WHOコード)と世界保健総会の決議を遵守する
1b.母乳育児の方針を文章にして、施設の職員やお母さん・家族にいつでも見られるようにする
1c.母乳育児に関して継続的な監視およびデータ管理のシステムを確立する
2. 医療従事者が母乳育児支援に十分な知識、能力、技術を持っていることを確認する
3. すべての妊婦・その家族に母乳育児の重要性と方法について話し合いをする
4. 出生直後から、途切れることのない早期母子接触をすすめ、出生後できるだけ早く母乳が飲ませられるように支援する
5. お母さんが母乳育児を始め、続けるために、どんな小さな問題でも対応できるように支援する
6. 医学的に必要がない限り、母乳以外の水分、糖水、人工乳を与えない
7. お母さんと赤ちゃんを一緒にいられるようにして、24時間母子同室をする
8. 赤ちゃんの欲しがるサインをお母さんがわかり、それに対応できるように授乳の支援をする
9. 哺乳びんや人工乳首、おしゃぶりを使うことの弊害についてお母さんと話し合う
10. 退院時には、両親とその赤ちゃんが継続的な支援をいつでも利用できることを伝える

今後の取組み

2023年からはNICUの助産師を8名に増員し、スタッフはもとより母への母乳育児支援の充実をめざし、病棟全体で取り組んでいます。
今後、タイムリーにケアができる環境や、助産師の専門性を活かした乳房管理ができる体制を整えていきます

問合せ先

認定について
(一社)日本母乳の会 担当:永山
(東京都中野区新井3-9-4 TEL:03-5318-7383) 

当院の取組みについて
当院新生児科 二谷部長、川向師長
(TEL:076-424-1531(代表) ※平日8時30分~17時15分)

関連リンク

(一社)日本母乳の会
https://www.bonyu.or.jp/(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)

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