2023.03.30

vol.69 2年間の研修を振り返って

指導医、先輩、仲間に恵まれ、
医師人生の基礎固めができた2年間。

茂手木 皓介

 私は千葉県出身。大学進学で、ここ富山に来ました。当初は卒業と同時に地元に戻って初期臨床研修を受けるつもりでしたが、大学6年生時に新型コロナのパンデミックになり、県外の病院を見学することができず、県内で研修先を探すことになりました。学生時代は試験に受かるための勉強しかしておらず、自分の知識や臨床能力には自信がありませんでした。そのため、研修先は指導医が多く、教育体制が整い、かつ研修医が主体的に診療する機会の多い病院を探しました。

 当院の救急を見学した際、脳卒中患者の初期対応や検査を、研修医が周囲に指示出しをしながら完璧にこなす姿を見て、そのレベルの高さに驚いたことを今も鮮明に覚えています。また同じ大学出身の先輩からは、勉強会や研修会など、先輩・先生方からレクチャーをしてもらう場が多いことも聞き、「自分の求めていた病院だ」と思い、当院を選びました。

 研修がスタートすると、私は循環器内科からのローテーションになり、慣れない業務やカルテ操作も重なって忙しい日々となりました。研修当初は何をするにも自信がなく、誰かに確認しないとオーダー1つできませんでした。しかし、指導医の先生のみならず、2年目研修医の先輩や看護師さん、その他コメディカルの方々が丁寧に教えてくださるので、少しずつ業務をこなせるようになりました。特に2年目の先輩方には、勉強会以外でも、日々の疑問を質問したり、相談に乗ってもらったりと、本当に助けていただきました。また、救急での当直業務も、最初は2年目の先生についてもらっていたので、安心して診察することができました。

 救急科ローテーションと救急当直も私を大きく成長させてくれました。輪番日の当直は驚くほどの患者数で、初めて対応した時はノイローゼになりそうでした。それでも3次から1次まで、幅広い患者・疾患を経験し、各疾患を何度も繰り返し診るため、頭というより体で覚えていくことができました(笑)。おかげさまで、この2年間で救急対応には一定の自信がつきました。また、救急科ローテーション中には毎週、症例検討会と勉強会があり、実際に救急で診た症例を使って勉強できるので、記憶に残り、知識を深めることもできました。

 内科ローテーション中には、各科のカンファレンスで自身の受け持ち患者の症例提示があり、そのほかにも研修医がメインで行う「内科CC」という症例検討会も行われるため、多くの発表機会が与えられています。私も内科学会で2回発表を行いましたが、そういった学会発表も積極的に勧めてくださるのでプレゼンテーション力も習得できました。

 私は整形外科志望であったため、2年間で計5ヶ月間、整形外科をローテーションしました。3次救急のため、外傷を多く診ることができ、その他にも毎日平均2~3件はオペに入り、多くの症例を経験できました。執刀も5例させていただき、専門研修につながる機会となりました。

 このほかでは、ドクターヘリ研修とピッツバーグ研修も経験できました。ドクターヘリには、必要な資格を1年次に勉強して取得し、2年目から乗ることができます。私は合計で15症例ほど経験しました。他にもドクターヘリ研修を行っている病院はありますが、これほど数多く乗れる病院はここだけではないかと思います。

 ピッツバーグ研修は過去2年間、コロナ禍の影響で中止になっていましたが、ようやく今年度から再開されました。1週間という短い期間でしたが、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるUPMC(University of Pittsburgh Medical Center)へ行き、手術を見学したり、現地の医学生や研修医と一緒にレクチャーを受けたり、医学英語の壁にぶつかりながらも、治療法や医療制度の違いについて学ぶことができました。

 最後に…。この2年間の研修医生活では様々な実りがありましたが、最も大きかったものの一つが仲間です。研修医数が多く、様々な大学出身者が集まってくるので、たくさんの刺激をもらいました。先輩後輩の仲も良く、感染対策を講じながらもみんなで旅行に行ったり、ご飯を食べたり、サウナに行ったりと、プライベートも充実していました。私たちの学年は例年より人数が少なく、当直回数が増えるなど大変なこともありましたが、その分、団結力が強く、同期旅行や食事会、お互いの結婚式に出席するなど本当に仲の良い学年でした。また、看護師さんやコメディカルの方々とも食事に行く機会があり、他職種で関わりがもてたことも当院を選んで良かった理由の一つです。

 当院で研修医として働いた2年間は本当に充実しており、忘れられない日々となりました。ここで得た知識、経験を財産として、今後の医師人生を歩んでいきたいと思います。

茂手木photo
研修医レポート