令和４年度 富山県立中央病院 病院指標

腎臓・高血圧内科では慢性腎臓病、慢性腎不全の病名で入院する患者が多数を占めています。特に血液透析や腹膜透析のための手術や透析合併症の治療のため紹介されるケースが多い傾向にあります。血液透析のシャント手術は心臓血管外科、腹膜透析のカテーテル挿入手術は外科との協力のもとで行っています。腎移植は年間３例（2022年）で泌尿器科と連携して術前・術後の管理をしています。腎疾患の組織診断が必要な場合には、腎生検を積極的に行っています。

循環器内科では不整脈、狭心症、心不全、心筋梗塞による入院が多数を占めています。
循環器内科では狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、心臓弁膜症、心筋症、末梢血管疾患などあらゆる循環器疾患に対してカテーテル治療や薬物治療など最先端の医療を提供できるように取り組んでいます。また、循環器救急医療を24時間体制で実施しており、急性心筋梗塞、急性心不全等、緊急疾患に対する治療を各科と連携して迅速に行っています。

血液内科では、造血器悪性腫瘍による入院が多数を占めています。
一番多く入院されている患者さんは、非ホジキンリンパ腫の患者さんです。非ホジキンリンパ腫の中で最も頻度の高いびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対しては、リツキシマブ併用ＣHＯＰ（Ｒ－ＣＨＯＰ）療法を６～８コース行います。症状に応じてポラツズマブべドチン併用Ｒ－ＣＨＰ療法も検討します。限局期の場合には放射線を併用し、Ｒ－ＣＨＯＰの回数を減らすこともあります。大脳などの中枢神経から発生した場合には大量メトトレキサートを含む化学療法を行い、60歳未満では放射線照射を追加します。再発例には救援化学療法を行った後、必要に応じて自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を行います。悪性リンパ腫においても再発を繰り返す場合や予後不良な症例に対しては同種移植を検討しています。
２番目に多い患者さんは、急性白血病の患者さんです。急性骨髄性白血病の治療は、標準的な強度の寛解導入療法で開始します。特定の遺伝子異常（ＦＬＴ３－ＩＴＤ変異）を伴う場合には分子標的薬（キザルチ二ブ）を併用します。ご高齢の方や合併症があり強力な治療が困難な場合には、ベネトクラクスにアザシチジンないし低用量シタラビンを用いた化学療法を行います。予後不良因子で適応のある方には同種移植を検討します。急性リンパ性白血病で、フィラデルフィア染色体陽性であればイマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬を含む治療を行い、その後同種移植を検討します。イマチニブ抵抗例や再発例にはダサチニブ、ポナチ二ブを使用します。フィラデルフィア染色体陰性の急性リンパ性白血病で、35歳未満の場合は強力な化学療法を行います。35歳以上の方や予後不良染色体を有する方では、化学療法に引き続き同種移植を検討します。再発例には、抗体製剤であるブリナツモマブやイノツズマブオゾガマイシンを用いた治療を行います。
3番目に多い患者さんは、骨髄異形成症候群の患者さんです。リスク高い方にはアザシチジンによる化学療法を行います。年齢、合併症、主要臓器機能などを評価した上で同種造血幹細胞移植の適応を判断します。

呼吸器内科の入院診療は、肺癌に対する化学・免疫療法及び放射線療法や緩和ケア治療、間質性肺炎の急性増悪の治療、呼吸器感染症などの治療を主に行っています。

消化器内科では肝、胆管や胃の悪性腫瘍による入院が多数を占めています。

内分泌・代謝内科では糖尿病、脂質異常症などの代謝疾患と甲状腺、副腎、下垂体をはじめとする内分泌疾患の診療を行っています。
糖尿病患者さんに対しては多職種からなるチーム医療で個々の患者さんにとって最適で全人的な医療を目指しています。
糖尿病教育入院８日間パスを作成し2022年度は107名の糖尿病患者さんを治療しました。また24時間持続血糖測定やインスリンポンプを用いた最先端技術も導入しています。バセドウ病、甲状腺腫瘍、副腎疾患、下垂体腫瘍など内分泌疾患の患者さんに対しては、適切な診断・治療を提供するため内分泌機能を正しく評価し、各科との連携をとることを心がけています。

脳神経内科では脳梗塞、てんかん、免疫介在性・炎症性ニューロパチー、非外傷性頭蓋内血腫等による入院が多数を占めています。

小児科では急性気管支炎、喘息、熱性けいれん、ウイルス性腸炎等による入院が多数を占めています。

当施設は総合周産期母子医療センターに指定されており、早産児、低出生体重児、呼吸障害、循環器疾患、小児外科疾患、脳神経外科疾患などのすべての新生児疾患に対応しています。フォローアップ外来では他施設からの紹介も受け付けております。

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外科、乳腺外科では、消化器および乳腺、ヘルニアなどの疾患に対する外科診療を行っています。富山県の中核病院であるという性格上あらゆる外科系疾患の患者さんが受診されますが、中でもがん患者さんが多くを占めています。新型コロナウイルス感染症が拡大し、一時的に手術件数が減少しましたが、2022年度末からやや回復しつつあります。
2022年度の総手術件数は1414件、そのうち全身麻酔手術が1196件、緊急手術が274件でありました。約6割が悪性疾患に対する手術で、疾患別には食道癌が14例、胃癌が130例、大腸癌が210例、肝胆膵領域癌が104例、乳癌が166例となっています。

当科では原発性肺癌をはじめ転移性肺癌、気胸、縦隔腫瘍、胸部外傷など多くの患者さんを受け入れ手術を行っています。手術は積極的に胸腔鏡手術を行っており全体の約90%を占めていますが、一方で進行癌に対しては開胸による拡大手術も行っています。いずれの手術も安全性、根治性の高い手術を心掛け、術後の早期離床、早期退院を実践しています。
近年は術後の補助化学療法の適応範囲が拡大しており、胸腔鏡を中心とした手術による患者さんの負担軽減と術後の早期離床により、体力の低下を最小限にすることでスムーズに後治療に移行し、患者さんが治療の恩恵を最大限に受けられるよう心掛けています。

脳神経外科では頭蓋及び頭蓋内損傷、脳梗塞、未破裂脳動脈瘤による入院が多数を占めています。
年間入院患者数は４７０～５００人程度です。

整形外科では股関節・大腿近位骨折や股関節骨頭壊死、前腕の骨折、股関節症（変形性を含む）による入院が多数を占めています。

形成外科では、形成外科全般において診療を行っています。
形成外科全般の疾患として、外傷による皮膚・軟部組織損傷、熱傷、顔面骨（鼻骨、頬骨、上顎骨）骨折、腫瘍（皮膚、皮下、軟部組織）、瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド、難治性潰瘍、先天異常（副耳、耳瘻孔、耳介変形、多合指（趾）、舌小帯短縮症、臍ヘルニア）、眼瞼下垂症、下眼瞼内反症、腋臭症、再建（人工物による乳房再建、植皮術、皮弁術）などを扱っています。

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産婦人科では妊娠期間短縮・低出産体重に関連する障害、子宮の良性腫瘍、胎児及び胎児付属物の異常等による入院が多数を占めています。

皮膚科では、急性膿皮症（主に蜂窩織炎）、帯状疱疹といった急性感染症に対応しています。
円形脱毛症に対するステロイドパルス療法、下肢静脈瘤手術、皮膚悪性腫瘍の抗がん剤治療なども多数施行しています。

前立腺針生検は施行前の浣腸の処置を行い、感染リスクの低減に貢献しています。
ロボット支援下手術は、2017年1月より2023年8月末までに525件の手術を施行しました。現在、前立腺全摘をはじめ、腎部分切除、膀胱全摘、腎摘除、腎尿管摘除、腎盂形成など幅広く適応としています。合併症は特に生じておらず、早期の退院が可能です。
膀胱癌に対する経尿道的手術の際、術中光力学的診断を併用しており、上皮内癌の見逃しが少ないです。

眼科では白内障、黄斑、後極変性、硝子体疾患による入院が多数を占めています。白内障手術は片眼で1泊2日か日帰りで行っています。
網膜前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症、網膜剥離など手術を要する症例が上位です。

耳鼻咽喉科では睡眠時無呼吸症候群、慢性副鼻腔炎、扁桃・アデノイドの慢性疾患、前提機能障害、甲状腺の悪性腫瘍による入院が多数を占めています。

精神科は、病床数50床の精神科救急合併症病棟を運用しております。この病棟は精神科ではもっとも高規格の病棟で、全国でも数少なく中部地方では当院が初となります。当科では、富山県の精神科救急システムにおける基幹病院として、精神科救急医療・急性期医療の対応と充実をはかっています。また、合併症（精神疾患に身体合併症を伴う方）の治療や、他の診療科で治療を受けておられる方の精神医療的なサポートなど、他科との連携にも力を入れております。
2022年度に当科に入院された患者さんで一番多かったのは、うつ病などの感情障害圏の方でした。現代のストレス社会を背景にうつ病の方は増えており、その傾向が反映されたものと考えております。また、総合病院精神科として、児童思春期の方、産後うつ病など周産期の精神疾患の方、摂食障害の方などの外来・入院対応にも力を入れており、その受診や入院も増えてきています。

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心臓血管外科の診療内容は主に虚血性心疾患（狭心症、心筋梗塞）、心臓弁膜症、大動脈疾患（大動脈瘤、大動脈解離）や末梢血管疾患に対する外科的治療です。
また当院は富山県の３次救急病院に指定されていることから、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂、急性心筋梗塞などの緊急性の高い疾患にも迅速に対応できる体制を整えており、緊急手術も数多く行っております。

小児外科では、鼠径ヘルニア、停留精巣等による入院が多数を占めています。

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リウマチ・和漢診療科では、誤嚥性肺炎、腎臓又は尿路の感染症による入院が多数を占めています。

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腎臓・高血圧内科では人工透析を開始する前にシャント手術(腕の動脈と静脈をつないで動脈に多くの血液が流れるようにする手術）が必要です。このシャントを使い、日々の透析治療を行います。

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循環器内科では心房細動等、不整脈に対するカテーテル治療（＝経皮的カテーテル心筋焼灼術）、狭心症、急性心筋梗塞、末梢血管疾患に対するカテーテル治療を数多く行っています。
冠動脈のカテーテル治療では治療の難しい高度石灰化病変に対してロータブレーター、ダイヤモンドバック、IVLを用いて良好な治療成績を得ています。心原性ショックを合併した急性心筋梗塞に対しては、インペラ等補助循環を用いて冠動脈カテーテル治療を行っています。心房細動のカテーテル治療は年々増加しており（年間350件）、クライオバルーン、3Dマッピングシステム等を取り入れて、治療成績は良好です。再発例に対しても、最近の知見をもとにカテーテルアブレーションを行っています。

消化器内科では内視鏡を用いた手術を多く扱っています。

小児科では、経皮的カテーテル心筋焼灼術、腸重積症整復術（非観血的なもの）等を扱っています。

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新生児科では新生児仮死蘇生術を多く扱っています。

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最近は、開胸・開腹手術よりは、身体への負担の少ない低侵襲手術とされる内視鏡外科手術を各臓器に積極的に導入しています。2022年度には、胸腔鏡下食道切除術は4件、腹腔鏡下胃切除術67件、腹腔鏡下結腸・直腸切除術158件、腹腔鏡下肝切除25件、腹腔鏡下膵切除7件、腹腔鏡下胆嚢摘出術172件、腹腔鏡下ヘルニア手術52件、腹腔鏡下虫垂切除術41件でした。
さらに2018年からは三次元視野下に関節を有する自由度の高い鉗子を用いて巧みな手術操作が可能で、より安全性と根治性を高めたロボット支援手術を導入しています。2022年度には、ロボット支援下食道切除術10件、ロボット支援下胃切除術16件、ロボット支援下直腸切除術30件、ロボット支援下膵切除術9件となっています。当院外科では低侵襲治療を提供できる体制を整えております。

呼吸器外科では原発性肺癌、転移性肺癌、気胸、縦隔腫瘍が上位を占めており、これらに対する手術の約90%を胸腔鏡下に行っています。胸腔鏡手術は4Kモニターを使用することで精度の高い手術が可能となり、安全性はもちろんのこと、癌の根治性を追求した手術を行っています。
また近年では区域切除術をはじめとした縮小手術の重要性が高まっていますが、当院ではこれまでの豊富な区域切除術の経験から、腫瘍の状態のみならず個々の患者さんの状態に合わせた適切な術式選択を心掛けています。また進行癌についても積極的に開胸による拡大手術を行っており、呼吸器内科や放射線科とも連携して集学的治療を行っています。
胸部手術における術後の合併症発生率は全国平均を大きく下回っており、術後の早期離床と在院日数短縮によって体力の低下を最小限とし、術後補助化学療法を要する場合でもスムーズに移行できるよう心掛けています。

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脳神経外科では年間２００～２５０件程度の手術を行っております。うち、脳血管内治療は４０～７０件程となっております。脳腫瘍摘出術を比較的多く行っています。

整形外科では人工関節置換術、骨折観血的手術、人工骨頭挿入術等を多く扱っています。

形成外科では高齢者の眼瞼下垂手術、鼻骨骨折整復固定術を多く扱っています。

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産婦人科では帝王切開術、腹腔鏡下膣式子宮摘出術、子宮附属器腫瘍摘出術を多く扱っています。

皮膚科では皮膚悪性腫瘍を多数扱っていますが、入院で行うのはハイリスクの患者さんが中心で、多くは外来の日帰り手術（４５件）で行っています。静脈瘤手術は症状に応じて血管内焼灼術や高位結紮術を行っています。

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膀胱癌に対する経尿道的手術の際、術中光力学的診断を併用しており、上皮内癌の見逃しが少ないです。
ロボット支援下手術は、2017年1月より2023年8月末までに525件の手術を施行しました。現在、前立腺全摘をはじめ、腎部分切除、膀胱全摘、腎摘除、腎尿管摘除、腎盂形成など幅広く適応としています。合併症は特に生じておらず、早期の退院が可能です。
第3世代Ho:YAGレーザーを導入し、前立腺肥大症に対する腺腫核出あるいは尿路結石に対する砕石に威力を発揮しています。

眼科では白内障手術には単焦点レンズ、トーリックレンズ、多焦点レンズから選択して行っています。
硝子体手術関連は、網膜前膜、網膜剥離、糖尿病性網膜症などが主な疾患です。白内障手術を併せて行う場合があります。
緑内障は病型、症例に応じて、流出路再建、濾過手術、隅角癒着解離術など多く行っています。
眼内レンズ脱臼、水晶体脱臼に対して眼内レンズ強膜内固定術を行っています。

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耳鼻咽喉科では扁桃腺を摘出する口蓋扁桃手術、内視鏡下鼻・副鼻腔手術、甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術等を多く扱っています。

近年心臓血管外科では弁膜症に対する小開胸心臓手術（MICS)、経カテーテル的大動脈弁植え込み術（TAVI)、大動脈疾患に対するステントグラフト手術など低侵襲手術も積極的に行っており、循環器内科やコメディカルスタッフと協力し、ハートチームとして循環器疾患患者さんに最善の医療を提供することを心掛けております。

小児外科では鼠経ヘルニア手術、停留精巣固定術を多く扱っています。

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