富山県立中央病院

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お知らせ

ロボット支援下内視鏡手術を導入しました!

2019/05/06

2018年4月、胃がんや直腸がんに対してもロボット支援下内視鏡手術(以下、「ロボット手術」という)が保険適用となり、当院外科では同年12月から直腸がんに対してロボット手術を導入しました。

ロボット手術とは、術者がサージョンコンソールと呼ばれるコントローラーでロボットアームを遠隔操作し、これに従ってロボットアームの先端に取り付けられた専用の手術器械(鉗子)やカメラが患者さんの体内で実際に動く仕組みになっています。

泌尿器科領域では2012年から前立腺がんに対して、2016年から腎がんの部分切除に対してロボット手術が保険適用となっていましたが、他領域にも適用が拡大されたため準備を進めてきました。日本内視鏡外科学会から学会指針として、消化器外科領域ロボット手術を施行するための施設条件や術者条件が定められており、当科では指針を遵守し質と安全が担保された手術が行えるよう必要な資格の取得やトレーニングを経て導入に至っております。また、手術実施前には一般社団法人National Clinical Database に患者さんの情報を登録することが義務付けられており、患者さんごとに入念な術前評価を行い適正な手術計画が立てられているかを科内の医師全員で検討したうえで実施を決定しています。


直腸は身体の奥深くである骨盤内に位置しているため、開腹手術による直視下の観察では切除したい腫瘍が取り切れているか、あるいは温存したい他臓器や神経に損傷がないかなどの確認が困難な場合があり、その判断が術者独りに委ねられることも多々ありました。腹腔鏡下手術では、内視鏡で近接して観察することにより身体の奥深くであっても臓器が詳細に観察できること、またモニターを通して術者以外もこれらを確認することが可能となり、より安全で質の高い手術が期待できるようになりました。しかし腹腔鏡下手術にも制限があり、鉗子という手術を行うための道具が直線的な器械であるため、動きが限られてしまったり、また奥深くの場所では手振れの影響が強く反映されてしまうこともあり、難しい手術であるという認識でした。
ロボット手術では、専用の鉗子に関節があり人の手以上に屈曲・回転が可能となっているため、腹腔鏡下手術の欠点であった動作の制限がかなり改善されています。

また手振れを抑える機能が備え付けられており、非常に繊細な手術操作ができるようにもなっています。
さらに3Dのフルハイビジョン画像により臓器を立体的にとらえることができるため、微細な血管を認識して温存あるいは止血することで出血量を抑えることができます。また骨盤内の手術においては特に自律神経(排尿や性機能に関する神経)をしっかり認識して正確に温存できる可能性が高まります。神経が腫瘍に近接していたり巻き込まれたりしている場合は合併切除せざるを得ませんが、その判断にも直視あるいは腹腔鏡での二次元視より立体視の方が有用と考えられます。

直腸がんに対するロボット手術の詳細に関しては、下部消化管担当医の渡邉、廣瀬(いずれも外来日は火曜・木曜)にお尋ねください。

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