帯状疱疹は、幼児期に罹患した水痘・帯状疱疹ウイルスが神経細胞に潜伏し、加齢や免疫能の低下により再活性化し、神経が障害される病気です。これにより知覚障害と運動麻痺をきたします。また、皮膚に発赤、腫脹、皮疹(水疱)が生じます。
通常は、初期治療(多くは皮膚科で治療されます)により2〜4週間で水疱はかさぶたとなり、軽度の色素沈着を残して治ります。しかしながら、皮疹が消失した後も痛みを残し、患者さんを苦しめる状態を帯状疱疹後神経痛と呼んでいます。
麻酔科(ペインクリニック科)では帯状疱疹後神経痛の患者さんに対して、神経ブロック療法を中心に治療を行っています。神経ブロック療法とは、神経に局所麻酔薬を注射し、一時的に神経を麻痺させる方法です。頭頚部、上肢の帯状疱疹後神経痛に対しては、外来通院(入院も可)で喉仏の横のあたりに局所麻酔薬を注射する星状神経節ブロックを行います。胸部以下の帯状疱疹後神経痛に対しては、入院の上、背中から細いチューブ(カテーテル)を硬膜外腔(脊髄のすぐそば)に挿入し、局所麻酔薬を持続的に注入する持続硬膜外ブロックを行います。何らかの理由で神経ブロックを行えない場合は、レーザー照射やキセノン光による温熱療法で代用することもあります。また、抗うつ薬や種々の鎮痛薬の内服も併用しています。
帯状疱疹の発症早期から神経ブロック療法を開始した方が、疼痛、腫脹、発赤、皮疹の治癒を促進し、帯状疱疹後神経痛発生を予防する可能性があると考えられますので、帯状疱疹に罹患したら、なるべく早く麻酔科(ペインクリニック科)を受診されることをお勧めします。一方、治療開始が帯状疱疹発症後3ヶ月を超えた場合は、完治はなかなか困難です。現在のところ治療目標として、「夜間は眠れる」、「日中は、何かに集中していれば痛みを忘れる」、治療開始前の痛みが10段階の10として、これが3程度になれば、一応治療は成功したと考えていただいています。 |