富山県立中央病院

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お知らせ

和漢薬について知らなければ医師になれない?

2016/03/18

 平成13年より医学部の必須学習項目(コアカリキュラム)に「和漢薬が概説できること」が入りました。医師になるためには和漢薬の知識がなければならなくなったのです。これは和漢薬診療に携わっている我々にとって非常に喜ばしいことですが、同時に身の引き締まる思いです。これまで和漢薬について知る機会のなかった医師にとって、和漢薬を実際の医療現場でどのように有効に活用していけばいいか難しかったと思います。今日、日本の約8割近くの医師が和漢薬を診療に使用していますが、実際はほとんどが西洋薬的な使用の仕方であって、きちんとした漢方医学の考えにのっとり処方されていることはむしろ稀でした。そのため、様々な問題が起きていました。例えば、西洋医学的な病名治療で慢性肝炎イコール小柴胡湯として、ありとあらゆる慢性肝炎の患者に小柴胡湯が使用されたことがありました。その結果、かえって具合の悪くなった患者さんがいらっしゃいましたし、間質性肺炎を起こして亡くなる患者さんもいらっしゃいました。その多くの例が、漢方医学の原則からはずれた例であり、もともと小柴胡湯の適応(小柴胡湯証)から外れたものでした。(だだし、漢方医学の考えにのっとり適正に使用されたのにも関わらず副作用が出た例もあります)しかし、これからはある程度和漢薬に理解のある医者が増えることにより、患者さんがより安全かつ有効に和漢薬の恩恵を受けられるようになっていくことと思われます。我々のように和漢薬治療を専門にする者は、多くの患者さんが和漢薬治療の恩恵を受けられるようパイオニアとしての働きをしていきたいと考えています。

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