富山県立中央病院

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お知らせ

内科和漢・リウマチ科-Q&A

2016/03/18

Q1.和漢薬とか漢方薬とかよく聞きますが、どのようなものですか?

A.薬効のある天然物を簡単に加工(乾燥や粉砕)したものを生薬(しょうやく)と言い、植物(草根木皮)をはじめ動物や鉱物からも製造されます。ジギタリスはヨーロッパ生薬から抽出されたものですし、エフェドリンは麻黄(まおう)という生薬から、サリチル酸が楊の枝に由来することはよく知られています。中国で使用されている生薬を漢薬といい日本固有の生薬を和薬と呼んで両者をまとめて「和漢薬」としています。
 こういった和漢薬をいくつか組み合わせたものが「漢方薬」です。ただしその組み合わせは決してデタラメなものではなく、漢方医学で決められた配合によって、それぞれ一定量が調和されています。たとえば「葛根湯(かっこんとう)」という漢方薬は、葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草の7つの生薬(和漢薬)で構成されています。
 ところで「民間薬」との違いは何でしょうか。民間薬というのは伝承によって使用されてきた生薬を意味し、専ら単味で用いられるのが特徴です。たとえば、ドクダミやゲンノショウコ、センブリなどです。これに対して漢方薬は単独ではなく、複数の生薬を決められた割合で、組み合わせて使用します。
内科和漢・リウマチ科photo

Q2.東洋医学は西洋医学とどこが違うの?

A.現在,日本の医療の多くは西洋医学の知識をもとになされています。西洋医学は、分析的で病因の究明に関しては優れており、病因のはっきりする病気に対しては有効な治療法がある場合が多いのです。例えば、細菌性肺炎に対する抗菌剤などです。しかし、そのような優れた面がある一方、西洋医学は人間を物質的に捉え、心と体を分離し、人間の体をいろいろな部品の集合として考える傾向があるという問題があります。そのことから、現代の医療は病める人を癒すことより、臓器を治すことに主力が置かれる傾向があります。
 それに対して東洋医学は、人間を全体で捉え、おもてに現れた異常が生体のどのような歪みに基づくかを判断し、各自のもっている自然治癒力を高めて、生体のバランスをとって治していこうとします。また、東洋医学には人間の体と心は常に一体であるという心身一如(しんしんいちにょ)の考えがあり、身体の病変と心の変調を同時に扱っています。したがって、東洋医学は現代医学では原因のはっきりしない病気や有効な治療法のない病気、ストレスの多い現在の社会で増加している心と体が複雑に絡みあった病気などに対して有効な治療体系です。

Q3.漢方薬と西洋薬はどう違うの?

A.西洋薬(新薬)は人工的に化学合成された物質がほとんどで、その多くは一つの成分からなっています。そのため、西洋薬は一つの臓器や症状に対して強い薬理作用を示します。それに対して漢方薬は天然の材料(生薬)を用いて、原則として二種類以上の生薬の組み合わせで薬方(処方)が構成されています。そのため、一つ一つの作用は弱くても、生体のいろんな部分に働き、全体として病気を治す方向に作用します。

Q4.漢方薬に副作用はありますか?

A.漢方薬は天然資源を材料に作られており、何千年も前より使用されてきたものが多く、化学薬品に比べてはるかに安全性は高いのですが、薬である以上、不適切な使用やアレルギ-反応によって副作用は起こり得ます。また、漢方薬には「瞑眩(めんげん)」という、効き目が現れる前に一時的に症状が悪化する場合があります。したがって、漢方薬はその使用に詳しい専門家(医師、薬剤師)に相談して体質に合わせ使用すること、また内服していてなにか異常を感じたらすぐに専門家に相談することが大切です。

Q5.リウマチに漢方は効きますか?

A.関節リウマチは関節滑膜の異常な増殖を主体とした慢性の炎症性疾患です。その原因は不明ですが、免疫学的な異常が背景にあることは間違いなく、炎症が持続して関節が破壊されていきます。治療としては、現代医学的には、免疫抑制剤を含めた疾患修飾性抗リウマチ薬や、非ステロイド性抗炎症薬が中心となっておりますが、全身症状として全身倦怠感や食欲不振、貧血、浮腫などが持続したり、前述の薬を駆使しても良くならなかったり、副作用のために使える薬が限られてしまったり、合併症があるために通常の治療が受けられないなどといったことがよく起こります。
 こういったことで、漢方を希望して受診される方も多いのですが、このような場合に限らず、漢方薬はすべてのリウマチ患者さんに幅広く使っていただいてよいのではないかと思っています。というのは、約3~4割の患者さんは漢方薬のみで治療可能で、副作用の多い薬剤を併用しなくて済むからです。残りの6~7割の方は病気の勢いが強いために、何らかの現代医学的な薬を併用せざるを得ませんが、炎症を抑えきれなくても風邪をひきにくくなる、だるさが改善するなど、全身症状に対する波及効果が期待できます。
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