富山県立中央病院

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お知らせ

経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)

2011/01/05

 当科では従来,前立腺肥大症に対して経尿道的前立腺切除術(TURP)を行っていました.尿道に内視鏡を挿入し、肥大腺腫を尿道内部から”かんな”で削るように電気的に細かく切除する方法です.今でも他施設で一般的に行われていますが,切除面はささくれ立って出血量が多くなること,術中潅流に用いる非電解質溶液が大量に体内に入り込み,急速な体液増加や低ナトリウム血症をきたすことがあり問題点があります。

 そこで合併症を減らすことを大きな目標に新たにHoLEPを導入しました.この方法は,手術開始早期の段階で肥大腺腫と前立腺被膜との境界面に入り,この面での剥離を腺腫表面全体に及ぼすことで腺腫の核出が可能になります.みかんの皮から実を剥いていくイメージです(図1)。
図1

図2 剥離に用いられるのが高出力レーザーです. レーザー光は,内視鏡の内部に通した径550μクリスタルファイバー先端から放射されます(図2)。 先端はピンポイントですが1000℃を超えます.適切な剥離面に入れば, 被膜から腺腫へ入る多数の細血管をレーザーで凝固切断しながら剥離を進めます(図3)。
図3

 レーザー光は対象から数mm離れて照射しても有効なので,術野を広く観察しながら作業を進めることができ,大きな安心を得ることができます.血管凝固さえ行えば出血はほとんど生じませんし,芋の子のごとくツルリと核出することができるので腺腫を残す可能性は低いのです.核出された腺腫は膀胱内へ落とし込まれ,あとは専用の器械(モセレーター)で粉砕吸引するだけです(図4)。
図4

 開始からこの1年間で40例弱に対しHoLEPを施行し,ほとんど合併症なく「若い頃に戻ったようだ!」との声を多数聞かれ、満足した結果が得られています。

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