救急科

当院の救急診療体制

 富山県立中央病院救命救急センターは、昭和54年に開設されてから、常に富山県の救急医療の最後の砦としての役割を果たしてきました。三次救急医療施設として最重症患者への対応はもちろん、初期、二次の患者も含めて年間救急受診患者数は約15,000名、うち救急搬送数約6,500名と北陸一の患者受け入れ実績があります。
 救命救急センター外来部門ではER 型(北米の救急医療体制)の診療体制をとっており、救急科専門医が中心となり、専門診療科医師と連携して心肺停止、多発外傷、急性冠症候群、急性心不全、脳血管障害、広範囲熱傷、急性薬物中毒などの重篤な疾患から、比較的軽症の急性疾患までを幅広く診療しています。
 入院が必要な患者には全診療科の協力のもとで専用のハイケアユニット(ECU)やICU等で引き続き救命医療を提供します。救急科専門医は主に多発外傷、急性中毒、蘇生後の患者を担当しています。ICUは専従医によるclosed ICUとして運用されており、救急科専門医も集中治療専従医の一角を担っています。
 当院を基地病院として富山県ドクターヘリが運行されています。ドクターヘリは富山県のみならず岐阜県飛騨地域もカバーしており、年間600件程度の要請があり、地域の病院前救急診療において重要な役割を担っています。当院のみでなく県内の多くの救急科専門医がフライトドクターとして参加しており“ALL for TOYAMA”の精神で運営されています。

集合写真

当院での救急科研修

初期臨床研修

 当院の初期臨床研修医は1年目、2年目それぞれで1か月以上の救急科での専従研修と、救急輪番日の夜間当直研修を経験してもらっています。常に救急専門医の指導下で、1年目、2年目研修医が屋根瓦方式で協力しながら、年間15,000以上の軽症から重症まであらゆる疾患の救急患者の初期対応を経験することができます。富山医療圏では二次救急は輪番制を取っているため3日に一度の輪番日は非常に多忙ですがとても充実した研修が可能ですし、非輪番日にはプライベートの時間をしっかりと確保することができます。
 研修2年目では希望すればドクターヘリの同乗実習も体験できます。ベテランのフライトドクターの指導の下で、病院にいるだけでは経験できない病院外で救急隊と共同しての救命救急処置を体験できます。

救急科専門医研修

 残念ながら富山県では救急科専門医が充足していません。そこで県全体で若き救急医を育てるべく“ALL TOYAMA”での救急科専攻医研修を提供しています。当院を基幹施設として、連携施設である富山大学附属病院、厚生連高岡病院、砺波総合病院、黒部市民病院が協力した研修プログラムで、地域を護れる救急医の育成を行っています。
 救急科専門医には、幅広い診療技能が求められます。ERでは指導医の下で北陸一の救急患者受け入れを行い、軽症から重症まで多彩な症例を経験することで実践的な臨床能力を身に着けることが可能です。ICUでの勤務では集中治療専門医の指導の下で、救命医療に必要な各種デバイスを用いた集中治療を実践することができます。救急科専門医取得後は、引き続きのサブ・スペシャリティの研修として集中治療専門医の取得も可能です。多発外傷、急性中毒、ショックなどの重篤な患者では主治医チームの一員として、ERでの初療から集中治療管理そして転院、退院までの一連の治療を担当してもらいます。勤務日は多忙ですが完全シフト制勤務ですのでOn-Offは分けられ、非番日にはしっかりとプライベートの時間を確保できます。
 院内ER,ICUでの救命救急医療の研鑽と並行して、ドクターヘリのフライトドクターとしての病院前救急診療に関しても研修を行います。基本的に上級医との2名体制でバックアップを受けながら現場での救命処置を経験します。
 地域で救急科専門医が少ないことは欠点でありますが、専攻医が研修を行う上では大きなチャンスでもあります。専攻医のうちから地域のメディカルコントロール体制に関与し消防救急隊員の教育、研修や事後研修に指導医とともに参加して、地域の救急医療体制の構築に参画することが可能です。

Off the Job Training

 救急医療を研修するうえでは実際の診療経験が重要ですが、安全に救急診療、手技を行うためには事前のシミュレーショントレーニングが欠かせません。当院ではAHAのトレーニングサイトとしてBLS,ACLS、PALSや救急医学会のICLSコース、内科学会のJMECCな心肺蘇生に関する教育コースを主催しているほか、外傷に対するIATEC, JPTEC、脳卒中対応のISLS、PSLS、産科救急のJCMELS,災害に関するエマルゴなど各種シミュレーショントレーニングコースのディレクター、インストラクターが在籍しており、安心安全な救急医療が提供できるような教育を提供しています。当院の研修医、専攻医はこれらのコースを受講するのみでなく、インストラクターとしての指導経験を積むことも可能です。

救急科Photo

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