2012年12月に日本看護協会が認定する小児看護専門看護師の認定を受けました。サブスペシャリティー分野は、子育て支援分野です。
専門看護師制度の目的は、「複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかること」です。
複雑で、解決困難な看護問題とは何か、それは患者さんと看護師や医師とだけでは解決できない、多職種を巻き込んだ介入が必要な場合、あるいは、医学モデルや看護モデルだけでは解決できない、個々の人々の価値観や人生観、哲学も含めた判断や解決策を要求される場合などです。
しかし、私は、実際には日々の小さな疑問や、心に引っかかる違和感について、それが何なのかを整理して、看護師間で共有できるよう言語化するといったこと地道に実践しています。
小児病棟でよく起こる小さな違和感や、心に引っかかることとはどんなことか、例を下に挙げます。
1.昼寝中の子どもに採血をするために、訪室した主治医が、寝ている子どもをおこして処置室へ連れてくるよう指示された。
2.学童期の手術を受ける子どものお母さんから、「この子、怖がりだから手術の説明をしてほしくないし、浣腸も『ちょっと見せて』と言ってすぐに行ってください。」と言われた。
3.入院中の子どもの母から「兄弟が入院となって、世話をする人がいないので上の子どもたちも全員学校を休ませて病院にいさせてください」と言われた。
これらは、いずれもこれが唯一という明確な解決策があるわけではなく、そのまま家族や医師から言われた通りにケアを実施しても、誰からも責められるようなことはありません。しかし、倫理的感性の高い看護師は、このことに疑問をもち、違和感をおぼえることがあります。そうした看護師のもつ高い感性の芽を摘み取ることなく真剣に考え、問題を整理して取り組むことが、職場風土の変化に繋がると考えております。
また、支援の方向性を考えるにあたり、医療者として最大限子どもの権利を擁護しようと考えるだけでなく、親や家族の立場や思いも考慮して解決策を提案したいと考えております。看護介入して、「よかった!」と自分がすっきりした気持ちになるということは、もしかすると自分だけがすっきりしていて、肝心の本人とその家族はすっきりしていない場合が多いということを常に肝に銘じて仕事をし、職場の皆様とともに、日々学習し、日々成長しつづけたいと思っております。